六十谷橋で応急工事開始 崩落箇所に腐食

六十谷水管橋の崩落に伴う和歌山市紀の川北部地域の断水問題で、同橋の東約40㍍の六十谷橋に仮設の水道管を設置してバイパス(迂回路)とする工事が6日午前10時すぎに始まった。8日中の送水開始を目指し、同日深夜から9日早朝ごろに断水が解消する見通しに変わりはない。現場を視察した尾花正啓市長は、水管橋をつり上げる部材に破断があり、「経年劣化的なものではない異常な腐食が起こっている」と述べ、専門家を交えた詳細な調査を進める考えを示した。

バイパスの長さは4日の発表より長くなり、約630㍍。ダクタイル鋳鉄の内径70㌢、長さ6㍍の水道管を六十谷橋の車道上でつなぐ。

6日午前10時に六十谷橋が全面通行止めとなり、資材がトラックで橋の上に運び込まれた。水道管は1本の重さが約1・5㌧あり、作業員が声を掛け合いながら、クレーンで慎重に車道に降ろす作業が始まった。

この日は約50本が現場に運び込まれ、4事業者の作業員約100人、24時間態勢で工事が進められた。工事に必要な資材は7日中に全て搬入される予定。

尾花市長は、崩落箇所の画像で、橋をつり上げる部材の一部が激しく腐食、破断しているとし、鳥のふんが異常な腐食に関係している可能性を示唆した。今後はドローンによる詳細な撮影などを進め、専門家を交えて原因究明を急ぐ。

断水解消後の水道の使用については、一斉に使うと濁り水発生の恐れがあることから、「スタートは少量ずつ出してもらえたら。ご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

崩落した水管橋が復旧し、バイパスが撤去できるまで六十谷橋は全面通行止めが続く。紀の川の南北を結ぶルートが一つふさがるため、交通の流れの変化、渋滞が予想され、六十谷橋に近い紀の川大堰管理橋では、工事開始後すぐに混雑が起こっていた。

本格復旧の時期について尾花市長は「早期に着手したいが、原因究明と併せてやっていかなければならず、未定の状態だ」と話した。

バイパスとなる水道管をクレーンで六十谷橋に降ろす作業員

バイパスとなる水道管をクレーンで六十谷橋に降ろす作業員