中谷、池ノ上さん受賞 21年度大桑文化奨励賞
文化・芸術分野で優れた活動に取り組む人に贈られる公益財団法人大桑教育文化振興財団(大桑弘嗣理事長)の2021年度大桑文化奨励賞に、和歌山市出身のピアニスト・中谷政文さん(38)、岩出市の根来寺根来塗師・池ノ上辰山さん(62)の2人が選ばれた。表彰式は16日、和歌山市内で行われる。
中谷さんは、東京藝術大学付属音楽高校、同大を卒業し、米マイアミ大学フロスト音楽学部博士課程で博士号を取得。ピアノを小畠時栄氏、高尾直子氏らに、室内楽をヤーノシュ・シュタルケル氏らに師事した。
全日本学生音楽コンクール全国大会小学校の部で第1位と野村賞、第8回ソフィア国際ピアノコンクール第1位(2008年)をはじめ数々のコンクールで入賞し、18年度和歌山市文化奨励賞、20年度県文化奨励賞を受賞している。
きのくに音楽祭など県内を含む各地で演奏活動を行い、現在はエリザベト音楽大学ピアノ専攻専任講師を務める。
池ノ上さんは大阪府河内長野市出身。根来塗の権威、河田貞氏に師事。岩出町(現岩出市)から伝統工芸伝承事業根来塗講座の指導員に任じられ、00年には根来寺から初代根来塗塗師として活動を認められる。
幻といわれた中世の根来塗の技法を復元する活動に取り組み、「根来寺根来塗」として再興。07年に県郷土伝統工芸品に指定され、19年には文化庁長官表彰を受けている。
技術を伝承する根来塗講座を運営し、プロを目指す上級講座も開設。小中高校などへの出張授業も続けている。自ら植林した漆の樹液を使った根来塗にも取り組んでいる。
文化奨励賞の他、文化活動援助に有田市吹奏楽団(安彦典哉代表)、熊野古道全国書道展実行委員会(阪本青悠代表)の2団体を選んだ。
同楽団は、20~60歳代の団員約20人が所属し、年1回の定期演奏会や地域のイベントでの演奏、小学校や福祉施設などへの訪問演奏など地元に密着した活動を続けている。
同実行委は、2011年の紀伊半島大水害をきっかけに、熊野の素晴らしさを発信するため「熊野古道全国書道展」を企画。常設展示を行い、県内外から来場者がある。
また、二川歌舞伎芝居保存会(有田川町)、印南八幡秋祭実行委員会(印南町)の2団体に対し、無形民俗文化財保持団体として活動を援助する。
学校図書寄贈は、県立紀北支援学校高等部、城南中、中芳養中、串本西中、楠見小、安楽川小、黒江小、ぶっとく幼、シオン幼、加茂川幼の10校園に行う。