オール県内ロケ 『ひとつぼっち』特別公開
2017年度橋田賞新人脚本賞の最終選考作品である『ひとつぼっち』が映画化され、和歌山県海南市下津町の市民交流センターで特別上映された。
来年1月から全国の劇場で順次公開されることを記念したもので、この日は原案、企画、脚本を手掛けた脚本家の波流(はる)じゅんさんや主演の広山詞葉(ことは)さん、母親役の美村多栄さんがトークを繰り広げた。
同映画は副島新五さん監督、21年日本セルビア映画祭の入賞作品。プロデューサーの前田和紀さんが和歌山市出身であることから、撮影は同市の浜の宮ビーチや海南市下津の介護施設など、全て県内で行われた。
映画は、介護士の波子の前に、幼い頃自分を虐待して捨てた母親が認知症になって現れる。母は全てを忘れていた。波子は過去の記憶に苦しめられながらも母の介護をするが、ある言葉が引き金となり波子は母の首に手をかけてしまう。過去の記憶を忘れられない娘と年老いて全てを忘れてしまった母。運命に導かれ切れたはずの糸が再び絡み合う激しくも切ない物語。
波流さんは「この映画を見た後、誰かの心がほんの少しでも温かくなってもらえれば」と言い、広山さんは「海南市で映画の試写を行うことができてうれしい。ぜひ劇場で見てほしい」と笑顔で話した。