鮮やかな由来絵図が完成 紀美野の蛇岩大明神
和歌山県紀美野町三尾川にある蛇岩大明神の、老朽化した同大明神由来の絵図の掛け替えと、社殿や社務所などに覆いかぶさっていた倒木や雑木が伐採、整備され、11日に奉納式が行われた。
同神社の奉賛会が、社殿横に2013年から掛けられていた絵の老朽化を受け、同町でイラストレーターとして活躍する助野梓(すけのあずさ)さん(35)に絵を、フリーデザイナーの田中飛鳥さんに説明書きの制作を依頼した。助野さんはこれまでに、同町の高齢者向け買い物支援サービス「きみのり」の車体や柿のパッケージのイラストなどを制作している。
絵の大きさは縦94㌢・横390㌢、由来書きは縦77㌢・横73㌢で、赤や緑、金色などのアクリル絵の具で描かれ鮮やかな仕上がり。ともに、ヒノキの額に収められている。助野さんは制作にあたり、「見る人に違和感なく伝えたい」と、同町の僧侶に弘法大師の服装などを取材し、絵に反映させた。
絵は修行中の弘法大師が、道に横たわる黄金色の一匹の蛇をまたごうとした際に、「私の上をまたぐとは、なんという無礼者」と、蛇が怒り、火を吹いた様子や、蛇が絡まる向こう山の光り松など、同神社の始まりを絵巻風に表現している。
助野さんは「言い伝えに沿うように描いた。ヒノキの額に入れていただいて地域の人たちの気持ちがうれしい」と笑顔。奉賛会会長の臂曲(ひじまがり)康男代表は「明るい絵で、この神社の由来を表現してくれている。ありがたい」と話した。
また、台風などによる倒木や、空が見えないほど覆いかぶさっていた雑木は、㈱タニガキ建工(同町長谷)の谷垣和伸代表取締役の厚意で伐採された。
蛇岩と呼ばれる御神体の巨石の前で行われた祈祷(きとう)には、助野さんや谷垣代表、奉賛会のメンバーや関係者が出席。同町の十三神社の美野隆義宮司が、絵図の奉納と雑木の伐採を報告した。