海南市でバナナ栽培 こくぼ農園が挑戦
和歌山県海南市野上新のこくぼ農園は、主に亜熱帯地域で育つバナナのハウス栽培を始めた。来年2月に初収穫を予定しており、同農園を手掛ける㈱小久保工業所の小久保好章代表取締役(60)は「地元の人をはじめ全国の人に味わってもらいたい。海南でもこんなおいしい作物ができることを知ってほしい」と話している。
国内で販売されているバナナのほとんどは輸入品。小久保代表は「日本では栽培が珍しいとされる作物を育てたい」とバナナの栽培を思い立った。
同農園で育てているのは「蜜の月」という品名で、皮ごと食べることができ糖度が高いのが特長。葉も青汁として使用され、同市のふるさと納税の返礼品にもなる予定。
S・A・B・C・Dとバナナの大きさにより五つのランクに分類。Sランクは全体のわずか3%しか採れず、約30㌢で1万円で販売される。D~Aランクは600円~3000円となっている。
ハウスは330坪あり、室内は常に28度に保たれている。栽培するにあたり、約2カ月、熱帯果樹に詳しい人がいる岡山県へ通った。そこで得た技術を基に、ことし5月、約85本のバナナを植樹。50㌢ほどだった苗は半年で約5㍍まで成長した。同園は、熱帯作物を日本で育てるため、注目されている栽培方法を採用している。苗をマイナス45度で凍結させると、解凍したとき、苗は常温でも暑いと感じ、一気に成長するのだという。
土には竹炭を使用し、竹炭の効果で虫が付きにくく無農薬で栽培が可能。さらに独自のアイデアで、バナナと同じくカリウムが豊富な「ノニ」を希釈した水を与えている。根にカリウムが多く蓄積され、より根が張りそこから水や養分を吸収するという。
小久保代表によると、1本の木に約70本のバナナがなり、1本の木から3年間で5回の収穫を見込んでいる。
小久保代表は「始めたばかりで、木が枯れてしまうなど失敗もあるが、フルーツ王国和歌山をアピールできる作物を海南から発信していきたい」と夢を語っている。