畠久保さん銅メダル アジアユースパラ陸上
今月上旬に中東のバーレーンで開かれたアジアユースパラ競技大会に出場した和歌山県立和歌山北高校北校舎の2年生、畠久保勇太さん(17)が、陸上競技男子100㍍で自己記録を更新する12秒52を記録し、銅メダルを獲得した。「障害のある人たちに勇気を届けられるような走りをしたい」と臨んだ今大会。「他の人にも、自分も頑張ろうと思ってもらえれば」と笑顔で喜びを語った。
畠久保さんは生まれた時から左肘から先がなく、同大会では上肢切断もしくは上肢機能障害のクラス「T47」の「U―17(17歳以下)100㍍」の種目に出場。普段は同校バスケットボール部のキャプテンとして日々練習を重ねており、陸上の練習は一切することなく現地入りした。
陸上競技の公式の大会に出場するのは今回で3回目。畠久保さんは、「陸上用のスパイクを履くのもめちゃくちゃ久しぶりだった」と話し、「正直メダルが取れるとは思わなかった」と、銅メダル獲得に喜びもひとしお。
これまでの自己記録は、同大会の選考会で出した12秒65。同種目は8人と出場人数が少なかったことなどから予選はなく、1回の走りで勝負が決まる。「緊張はそれほどしなかった」といい、「スタートダッシュで失敗し出遅れたので焦ったけど、前の選手を見ながら『離されやんとこう』と思いながら根性で粘り抜いた」と振り返った。
銅メダルを獲得した前日の3日、初めての海外で17回目の誕生日を迎えた。友人たちからは「おめでとう」との言葉とともに「頑張れよ」と励ましの声も多く届いたという。
「この大会が終わったのでバスケに専念できる」と気持ちはすでにバスケ一色。バーレーンから帰国後、2週間の隔離期間中は自宅のダンベルで筋トレに励み、1月8日から始まる新人戦に向けてようやくチームメイトとの練習を再開した。「体力が落ちているので、しっかり走り込んでウエイトトレーニングもして体を元の状態に戻し、さらに体をピークの状態に持っていきたい」と意気込む。
「チームにも影響を与えるし、バスケの練習ができないので出場を迷った」という今大会について、銅メダルを手に「いろんな経験ができたので、出場して良かった」とやり切った表情で話した。