使うほどに深い味わい 池ノ上さん根来塗作品展
中世の技法を復興させた根来塗師、池ノ上辰山(しんざん)さん(62)の展覧会「重ねる器漆椀―辰山と直弟子たち―」が11日まで、和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階で開かれている。
根来塗は室町時代に根来寺山内で作られ、刷毛目を残す鮮やかな朱色が特徴。沸騰した湯も入れることができ、角が欠けない丈夫な漆物として知られる。
「往時の根来塗を根来の地で」と、根来塗権威・河田貞氏と池ノ上さんが探求し「中世の幻」とされる技法を復興。池ノ上さんは2019年に文化庁長官表彰、21年に大桑文化奨励賞を受けている。
今回の展覧会では重ね合わせることができる器「椿椀」の他、椿皿、角切折敷、豆子(ずつ)、楪子(ちゃつ)、輪花盆(りんかぼん)、瓶子(へいし)、酒器など中世の高度な技法で作られた約600点が並んでいる。
池ノ上さんは「下地が厚くて丈夫で欠けにくいのが根来寺根来塗。朽ちれば朽ちるほど味を出す。本物の根来塗の魅力を感じてもらえれば」と話している。
数量限定で一部特別価格で販売。弟子の池上和慶さん、松江那津子さんの作品も展示している。
午前10時~午後6時。問い合わせは同店(℡073・433・1122)。