全国初宇宙専門コース 串本古座高に新設へ
和歌山県は12日、県立串本古座高校(串本町)に2024年度、公立高校として全国初となる宇宙教育専門の「宇宙探究コース」を新設すると発表した。同町に日本初の民間ロケット打ち上げ射場を整備中のスペースワン㈱との連携などを盛り込んだ特色あるカリキュラムを構築し、宇宙に関心を持つ生徒を県内外から呼び込み、紀南地域の活性化につなげる。仁坂吉伸知事は「全国の宇宙少年よ来たれ」と呼び掛けた。
発表によると、24年度の宇宙探究コース開設に向け、段階的に宇宙関連の学習や活動を強化していく方針で、22年度に総合的な探究の時間を活用して宇宙関連学習を開始し、23年度には選択科目「宇宙」を新設する。
22~23年度に宇宙探究コースのカリキュラム作成や全国への広報戦略の検討を進め、宇宙教育の専門的な知見を持つ教員を採用し、有識者や関連企業などが参加する検討委員会で議論する。
カリキュラムでは、スペースワンや宇宙航空研究開発機構(JAXA=ジャクサ)などの専門スタッフによる特別授業なども想定し、生徒の宇宙への関心や志を刺激し、高める内容を目指す。
生徒を全国から受け入れるための環境整備にも着手し、下宿先や学生寮の確保など、町や地域と連携して検討する。
串本古座高は以前からラムサール条約に登録された海、南紀熊野ジオパークなどの周辺環境を生かし、特色ある教育を進めており、17年度には全国募集枠があるグローカルコースを開設。新たな宇宙探究コースでも、これまでの取り組みや地域との連携実績を生かすとしている。
仁坂知事は、小型ロケットで衛星を打ち上げる世界的に新しいビジネスモデルの第一線が串本にできることで、産業集積が見込まれるとともに、新コースの開設により、地元だけでなく日本や世界の子どもたちの教育ができるようになれば、「育った人材は、またここで働ける」とし、「好循環ができてくることを期待したい」と述べた。