原点の地で友好深める トルコ大使が来和

トルコのコルクット・ギュンゲン駐日大使一行が20、21日、トルコと日本の友好の原点である和歌山を訪問し、仁坂吉伸知事との意見交換やエルトゥールル号遭難慰霊碑(串本町)への献花などを行い、今後も和歌山との関係を重視し、両国の友好関係をさらに深めていくことを確認した。

ギュンゲン大使はイスタンブール生まれの53歳。リトアニアやEUのトルコ政府代表部などでの勤務、駐エクアドル大使を経て昨年3月に駐日大使に就任。今回が大使として初の和歌山への公式訪問となった。

20日、和歌山市を訪れたギュンゲン大使は、県立博物館で開催されている特別展「和歌山と皇室―宮内庁三の丸尚蔵館名品展―」に来場。和歌山ゆかりの芸術家による作品などとともに、エルトゥールル号関連の写真パネル、オスマン帝国(トルコ)皇帝アブデュルハミト2世が日本の皇室に贈ったカーペット「紫天鵞絨地花文刺繍卓被(むらさきびろうどじはなもんししゅうたくひ)」などトルコゆかりの展示品が並び、ギュンゲン大使は学芸員の説明を受けながら鑑賞し、「自分の目で見ることができ、感銘を受けた」と語った。

県庁では仁坂知事がギュンゲン大使を出迎え、「トルコは和歌山にとって最も大事な国。心から訪問を歓迎したい」と話すと、ギュンゲン大使は「和歌山県とは、さまざまな分野において両国を結ぶ役割を共に果たしていきたい」と応じた。

仁坂知事は、県内で昨年開かれた全国高校総合文化祭やアジア・オセアニア高校生フォーラムで両国の高校生が交流を深めたことを紹介。ギュンゲン大使は「未来を担う若者たちのつながりは大事なこと。ご協力ありがとうございます」と県の取り組みに笑顔で感謝した。

記念品の交換では、ギュンゲン大使から、多様な文明の要衝であるトルコの歴史や文物を紹介した書籍『トルコ 世界最大の博物館』、仁坂知事からは、ガラスに蒔絵(まきえ)を施した紀州漆器の皿が贈られた。

21日に串本町へ移動したギュンゲン大使は、トルコ軍艦エルトゥールル号の遭難と地元住民による救出の舞台となった樫野崎に建つ慰霊碑に献花し、トルコ共和国建国の父として国民の尊敬を集めるケマル・アタテュルクの像、トルコ記念館など近隣に集中する友好の施設を視察した。

仁坂知事(手前)と歓談するギュンゲン駐日大使(中央)

仁坂知事(手前)と歓談するギュンゲン駐日大使(中央)