家族のような絆育む 被災地との交流10年

和歌山市青年団体協議会を中心とするメンバーが東日本大震災の被災地に県産ミカンを届け、現地住民らと交流を深める「パンダ大集合!みかん狩り運動会」が宮城県石巻市の上釜会館で開かれた。前回はオンライン開催だったため、実際に現地を訪れて交流するのは2年ぶり。県BBS連盟の高垣晴夫会長(59)は、「会えてうれしい」と現地の歓迎に感謝と喜びを表した。

交流は、震災があった2011年12月、高垣会長らが同市にストーブを届けたのをきっかけにスタート。翌年からは毎年、メンバーが車でミカンを届け、さまざまなプログラムの運動会で共に体を動かしながら交流を重ねてきた。

今回も寄付や助成金などで1200㌔のミカンを用意。和歌山から6人が向かった。現地の会館には、地元の子どもから大人まで約75人が集まり、玉じゃくしでミカンを運ぶリレーや、フラフープを使って箱やかごに入ったミカンを狙う輪投げなど、さまざまなゲームを楽しんだ。

会館には、東京オリンピックで聖火ランナーを務めた宮城県と和歌山県のランナーがユニホーム姿で登場。被災地の仮設住宅で使われた窓枠が原材料となった聖火トーチを子どもたちに見せながら、全国の人がつないだ思いを共有した。

また、初めての試みとして、石巻市内の公園など4カ所に同市の木「クロマツ」と和歌山の県木「ウバメガシ」を計16本、〝ともだちの樹〟として植樹。高垣会長は一緒に植えた子どもたちに「木のお世話をしてね」と伝え、「震災後に生まれた子どもや、震災の記憶がない子どもたちにも、復興支援を通して生まれた絆や復興への思いを語り継いでいってほしい」と期待を込めた。

11回目の交流となったことしは、10年という節目の年。高垣さんは年々訪れるたびに少しずつまちに色が出てきたのを感じるといい、「みんな元気になってきて、最初は受け手だったのが交流に近づいてきた」とほほ笑む。

宮城県BBS連盟の森義道会長(68)は「町内では年末恒例のイベントとして毎年とても楽しみにしている」と話し、「10年も継続して来てくれるのは奇跡に近く、家族みたいな絆が生まれている」と感謝。高垣会長は、「あらゆる人に支えられて自分たちが歩いた足跡は確実に残っているので、震災の記録を自分なりの記憶にしていってもらえれば」と願っている。

交流を深めた参加者(和歌山市青年団体協議会提供)

交流を深めた参加者(和歌山市青年団体協議会提供)