食品ロスを考える 和大で備蓄食活用の試み

食品ロスや防災について理解を深めてもらおうと、賞味期限が迫る備蓄食を活用したリメーク料理を提供する取り組みが28日まで、和歌山市栄谷の和歌山大学(伊東千尋学長)構内にある食堂で行われている。

同校は2021年5月、国立大学としては初めて公益社団法人日本非常食推進機構(古谷賢治理事長)と協定を締結。協定では、賞味期限が迫る防災備蓄品の有効活用を通し、SDGs目標達成▽食品ロス削減▽防災意識の向上を目指すこと――が盛り込まれている。

取り組みは、大学と同推進機構、同大学生協の3者が共催。コロナ禍で困窮する学生の生活支援も兼ね、賞味期限が迫る備蓄食の配布とそれを活用した料理を提供している。

26日、備蓄食をリメークしたチキンクリームシチューを食べたシステム工学部4年の伊達幸希(みゆき)さんは「食べやすい」と話し、同じく備蓄食のけんちん汁を食べた教育学部2年の鈴木咲葵(さき)さんは「食品ロスを減らし、食の循環をするのは良いこと。自分の学びにもなった」と笑顔。

この他、同大学災害ボランティアステーション「むすぼら」のメンバーによる防災関連イベントも実施。参加した学生は手足に重りをつけ、視界が狭くなるゴーグルで高齢者の疑似体験をしたり、防災カードゲームで災害時に何ができるかを議論したりするなど、いざというときを想定したシミュレーションをした。

高齢者疑似体験をした同大システム工学部3年で「むすぼら」のメンバーの奥田和真さんは「思っていた以上に大変。この経験を生かし、避難の際、高齢者にどう配慮するべきかを考える一つの参考にしたい」と力を込めた。

同大の学生支援課の中井邦昭課長(51)は「食品ロスにつながる備蓄食を有効活用し、教育に生かすことで大学としてもSDGsの達成に貢献していきたい」とし、今後も定期的に催しを行いたいと話している。

 

備蓄食を食べる学生