初の全域時短要請 まん延期防止措置適用
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ国の「まん延防止等重点措置」が和歌山県内で初めて適用された。既に30以上の都道府県で措置が適用されていることもあってか、飲食店関係者や市民の受け止めは比較的に冷静な声が多い。県内に本格的に広がり始めた自粛ムード。いつまで続くのか、経済への影響はどう出るのか、先行きは見通せない。
県内に21店舗の和食専門店を構える「信濃路グループ」は措置の継続期間は、休業店を除いて全店午後8時に閉店する方針を決めた。ことしに入って来店客が減り続ける中、措置適用に基づく営業時間短縮の要請に応え、時短協力金を受け取る「現実的な選択」を決断したとも言える。
同グループの西平都紀子代表は「措置適用となると、飲食店が困るだろうというのは間違い。(来店客急減の中では)助かる一面もある」と率直に語る。「もっと早く出してくれてもよかったぐらい」と話す店長もいた。
一方、期間中の休業を決めた和歌山市友田町の「おふくろの味あがた」の縣(あがた)克伸店主の気持ちは複雑だ。「夜の酒類提供だけが目のかたきにされている気がしてならない。昼間の営業でも人は集まる。矛盾している」。営業がしたくてもできない無念さが言葉の端々ににじむ。
利用する側の市民の声もさまざまだ。同市の70代男性は「感染対策はええこと。早くした方がいい。近くのスーパーに行くのも控える」と話し、自らも予防措置を講じるつもりだ。同市の30代主婦は「大阪から和歌山へと感染が拡大して措置が適用されることは予想できた。ただ、効果がどれだけあるのかは疑問」と不安を口にした。
3日夜、同市内の繁華街。人影はまばらで明かりの消えた店も多い中、居酒屋に立ち寄った50代の男性会社員は「酒の提供制限はつらい」と漏らす一方、「飲食店の方が大変だから我慢しないといけない。ルールを守って頑張っている店をこれからも応援したい」と話した。