市政の継承か刷新か 紀の川市長選に2氏
紀の川市の中村愼司前市長の死去に伴う市長選が20日告示された。昨年12月の前回市長選に立候補した元市議の森田幾久氏(54)と、前市長の後継を訴える元県議の岸本健氏(51)=自民、公明、国民民主推薦=の、いずれも無所属新人の一騎打ちとなった。投票日は27日、即日開票される。
前回の市長選は当時現職の中村氏が5選を決めた。だが、ことし1月13日、中村氏は病気のため死去。後任の選挙が2カ月半後に実施されることになり、両陣営は急ピッチで準備を進めてきた。
森田氏は市政の刷新を打ち出す。前回は中村氏に約5600票差までに迫る約1万2000票を獲得。遊休農地の整備などの農業支援や校区外でも通える小中一貫校の設立などの政策を掲げる。
同日午前、尾崎であった出陣式にはかつらぎ町の中阪雅則町長や岩出市議らが出席。中阪町長は「これまでの市政で間違っていることをはっきり言える市長に森田さんはなれる」と激励した。森田氏はあいさつ前に中村氏を追悼し、支持者と一緒に黙とう。その後、選挙カーに乗り込み市内を回った。
岸本氏は前回選挙で中村氏の選対本部長を務めた。思いを引き継ぐとして「京奈和関空連絡道路」の整備実現など中村市政の「継続」を強調する。教育振興などで独自政策も訴える。
同日午前、打田の事務所には仁坂吉伸知事や鶴保庸介参院議員らが駆け付けた。来賓からは「中村前市長が『次は健に』と言っていた声がよみがえった」との話が相次いだ。最後に、集まった支持者は「ガンバロー三唱」をして必勝を祈願。選挙カーに乗り込んだ岸本氏に手を振って送り出した。
市選挙管理委員会によると、期日前投票は市役所など5カ所で午前8時半~午後8時。2月19日現在の選挙人名簿登録者数は5万2017人(男性2万4469人、女性2万7548人)。
届け出順。【名鑑の見方】①主な経歴②最終学歴③住所
森田 幾久候補(54)
無新 ①元市議、建設会社員②東洋大学法学部③紀の川市長田中
若者に選ばれる市に
今回、皆さんから熱意を持ってもう一度頑張れと言われて奮い立った。市民党として市民の声を反映させるため立候補を決意した。紀の川市は気候にも恵まれ可能性のあるまち。働く、学ぶ、子育て、住む環境を充実させることが重要で、若者に選んでもらえるようなまちづくりをしていきたい。東京で働く若者を市に呼んで、ITを使って起業の支援充実を図りたいと考えている。基幹産業である農業を発展させるための遊休農地の整備や、校外区でも通える小中一貫校の設立、若者の移住、交通弱者に対するバス路線の延伸などを約束します。新しい市をつくっていきますので力をお貸しください。
岸本 健候補(51)
無新 ①元県議会議長、元衆院議員③拓殖大学商学部③紀の川市荒見
前市長の遺志継いで
中村愼司前市長の遺志を継がなければならない。偉大な市長の後とあって(立候補には)悩んだ。前回選挙は選対本部長として2カ月間、朝から晩まで中村前市長と行動を共にしてきた。今はふるさとのために頑張りたいとの思いが強い。
「京奈和関空連絡道路」を造って、世界に一番近い市を目指す。雇用を創出し若い人に来てもらいたい。そのためには安心して出産、定住できる環境を整える。市の基幹産業は農業で、年中フルーツができる。その研究がしっかりできる農学部を誘致し、市民がこのまちに住んで良かったと思えるように一生懸命頑張る。開票日には喜びを分かち合いたい。