県IR特別委員会 出融資の企業名を公表

和歌山県が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画案を巡り、県議会IR対策特別委員会が17日に開かれた。事業者「クレアベストニームベンチャーズ(CNV)」のマリオ・ホー代表取締役(27)が初めてオンラインで出席。不透明と指摘されていた資金調達計画について、出資や融資に参加する米国や香港などの企業名を示し、「パートナーの資金力を考えると、成功の確率はかなり高い」と自信を示した。県議からは融資の詳細や確約書の提出などを求める意見が根強く、議論は紛糾した。

午後1時に開会した特別委は、2度の休憩を含めて約6時間半に及んだ。

初期投資の約4700億円のうち、3割の約1450億円は出資、7割の約3250億円は借り入れで調達。出資のうちCNVと親会社のクレアベスト・グループ(カナダ)が各27・5%、米カジノ大手のシーザーズ・エンターテインメントが5%を担い、残る40%は少数株主の出資となる。

ホー氏は少数株主について、公表済みの西松建設(東京都)に加え、米国の金融サービス会社「キャンター・フィッツジェラルド」など外資8社の名前と、投資の意向表明書を得ていることを明らかにし、すでに40%分は確保したと述べた。

借り入れ分については、調達の主幹事行となる大手投資銀行「クレディ・スイス」から、資金調達への自信を示すハイリーコンフィデントレター(HCL)と呼ばれる文書を取得。ホー氏は、同行のHCLが持つ力は大きいとし、世界のカジノやゲーミングのプロジェクトで、同行のHCLを得て実現しなかった例はないと説明した。

県議からは「口では何とでも言える」「疑念は消えていない」などと、ホー氏の説明を裏付けるさらに詳細な数値や書面を要求する意見が相次いだが、ホー氏は、融資の確約書(コミットメントレター)はIR事業が認可された後に取得するもので、HCLが同等の意味を持つのがグローバルスタンダードであるとの認識を示し、仁坂吉伸知事も同調した。

また、資材価格の高騰による初期投資の拡大、県側の都合でIR事業が継続できなくなった場合などの対応を懸念する質問にホー氏は、追加で発生するコストは事業者で負担し、県に損害賠償などを求めることはないと明言した。

厳しい意見の一方で、ホー氏の説明に「感銘を受けた」「信頼できると感じた。その信頼に応えてほしい」などと好印象を語る議員もいた。

委員会終了後、藤山将材委員長は「十分に納得したという雰囲気ではない」としながらも、「具体的な内容が増え、前進している感触はある」と話した。

区域整備計画案は今後、和歌山市などの同意を得た上で県議会に提出され、国への提出期限(4月28日)前の20日ごろの議決を目指す。

オンラインで資金調達計画を説明するホー氏㊧

オンラインで資金調達計画を説明するホー氏㊧