県内で盛んに栽培「セミノール」

前号では果汁が多く、ジュースにすると格別な味わいを楽しめる「かんきつ中間母本農6号(東京オレンジ)」を取り上げた。他にも果汁たっぷりの柑橘(かんきつ)がある。今週は「セミノール」を紹介したい。
セミノールは1910年代にアメリカのフロリダ州にある試験場で育成された100年以上の歴史を持つ柑橘。「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンゼリン」を交配させて出来たもの。日本には1955年に持ち込まれ、全国各地で栽培されるようになった。
温州みかんと似た形をしており、外皮はやや硬めで張りがあり手触りが良い。重さは200㌘程度。酸味よりも甘味の方が強い印象で濃厚な果汁が特徴。爽やかな香りも魅力である。皮(じょうのう)ごと食べることもできるが、薄皮であり果汁が出てきてしまうので、ナイフで串切り(スマイルカット)にした方が食べやすい。
果汁が豊富であるため、搾ってジュースにするかゼリーやシャーベットにするのもおすすめ。香りの良さから外皮を細く切りサラダなどに振り掛けて食べることもできる。
農水省統計(2018年)によると、生産量の全国1位が和歌山県(50・9%)で約1500㌧、2位が三重県(22・4%)、3位が大分県(21・4%)。県内の主な生産地は、湯浅町、広川町、由良町となっており、県内で盛んに栽培されている品種。
収穫時期は3月から4月にかけて。酸を減らすために少し寝かせてから出荷されることが多く、旬は4月中旬から5月ごろ。
今が食べ頃のセミノール。果物店や産直市場で見掛けることがあれば購入し、果汁の多さとうま味を体感してほしい。
(次田尚弘/和歌山市)