廃棄食品の堆肥で野菜栽培 花王が取り組み
食品リサイクルの実現に向け、和歌山市湊の花王和歌山工場は25日、敷地内に設置した食品廃棄物の生ゴミ処理設備で作った堆肥原料を活用した野菜作りを始めた。同工場の社員食堂から出る食品廃棄物を削減し、廃棄物を再生利用した堆肥原料で作物を育て、収穫した野菜を社員食堂の食材として活用する循環型「食品リサイクル」を目指した独自の試み。同社は2019年、事業の持続的成長と持続的な社会の実現を目指す「ESG戦略」を打ち出している。
一日平均約600人が利用する同工場の社員食堂では、売れ残りや野菜くずなど非可食部分を含む一日当たり1人平均約100㌘、茶わん軽く1杯分の食品廃棄物が出る。これまでも、陳列サンプルの廃止や出勤人数からその日の食堂利用者数を予測しメニューの数量を決めるなど、食品ロス削減に取り組んできた。それでも発生してしまう廃棄物については再利用しようと昨年6月、生ゴミ処理設備を同工場敷地内に設置。現在は、1週間で約100㌔の食品廃棄物から約10㌔の堆肥原料を作っている。
このほど紀の川市東三谷の社会福祉法人きのかわ福祉会「ふるさとファーム」の畑で野菜苗の植え付け作業が行われ、同工場の従業員と施設の利用者ら計12人が参加。約700㌶あるこの畑では、約200㌔の堆肥原料を活用し、共に汗を流しながら、トウモロコシの苗約1000本を定植した。植えたトウモロコシの収穫は7月中旬ごろで、同工場の社員食堂で活用する予定だという。