笑顔になる紙芝居 笑いヨガの藤島さん原作
笑いと深呼吸を組み合わせた健康体操「ラフターヨガ」の指導者、和歌山市太田の藤島壽子(ひさこ)さん(74)によって書かれた童話に基づく紙芝居「笑い地蔵」が完成した。熊野古道にたたずむ架空のお地蔵さんが、動物や人間に笑いの楽しさを伝える物語。「笑うだけで人は優しくなれる。朝から作り笑いをするだけでもその日はきっと楽しくなる」と訴える藤島さん。そんな笑いの輪を広げようと、完成した紙芝居の寄贈を希望する学校や図書館などを現在募集している。
紙芝居は、テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の作画などを手掛けた杉井ギサブロー氏が絵を担当。森の動物や人の暮らしがほのぼのとしたタッチで描かれている。B4判の全16㌻カラー。
主人公は熊野古道の道沿いに立つお地蔵さん。願い事が多くて疲れた顔をしていると、インドのお坊さんから「手拍子をして笑うといい」と助言を受ける。
「ホッホ、ハハハ、ホッホ、ハハハ、わっはっはっはっは…」
笑い声を耳にしたのはリスやタヌキなどの森の動物たち。一緒に手拍子をして笑うと心も体もウキウキしてくる。
ある日、権太と彦一がお地蔵さんの顔が笑っていることに気付く。森で動物たちと毎夜笑っていることを知ると、2人も参加して笑う。家でもニコニコの2人は、家族に理由を話して一緒に森へ誘い、みんなでまた笑う。
そんな輪が広がり、いつしか、熊野古道は「笑い古道」、お地蔵さんは「笑い地蔵」と呼ばれるようになったという、ハッピーエンドに仕上がっている。
ラフターヨガは1995年、インド・ムンバイの医師とヨガ習熟者の妻が考案した体操。笑うことで多くの酸素を体に取り入れる効果があり、心身ともに元気になるとされる。
藤島さんは会社員の傍ら、定年直前の2008年からラフターヨガを始めた。きっかけは友人からの誘いだったという。翌年に指導者の「ティーチャー」資格も取得し、教室での指導や講師の育成にも当たる。「私自身もラフターヨガに救われた一人。口角を上げるだけでもいいから笑顔を作れば、本当にポジティブになれます」と強調する。
童話は指導者になった年にラフターヨガの効用を初心者にも伝えたいと執筆した。このほど、東京のラフターヨガジャパンの目に留まり、クラウドファンディングで資金を集めて2月に完成。藤島さんは「ほぼ原作通りで絵もすてきで大満足している」。
紙芝居では登場人物が笑う場面で声を出して笑うこともできる。呼吸法も学べるためラフターヨガの最適な〝入門書″と言えそうだ。
寄贈先については、希望があれば読み手向けに藤島さんが指導する。「紙芝居というと子ども向けですが、笑う楽しさもしっかり伝えているので、高齢者施設や中学、高校でもぜひ活用してほしい」と呼び掛ける。
問い合わせは藤島さん(℡090・2359・7921)。