中山選手が日本代表に 競泳ジュニアパンパシ

パルポートワカヤマ(和歌山市湊御殿)所属で、星林高校3年生の中山響(きょう)選手(17)がこのほど、横浜で開かれた「第98回日本選手権水泳競技大会」に出場し、男子1500㍍自由形で6位、男子800㍍自由形で8位に入賞した。両種目とも社会人や大学生が上位を占める中、高校生で唯一の入賞を果たし、1500㍍自由形で自身初の日本代表入りをつかんだ。常に目指す「自己ベスト更新」への強い思いを胸に今夏、世界の大舞台に挑む。

中山選手は0歳でスイミングを始めた。当初は別のクラブに所属していたが、中学3年の時に「もっと速くなりたい」と自ら楠本一彦コーチに指導を依頼し、同クラブに移籍した。

楠本コーチ指導のもと、これまでもさまざまな大会で優秀な成績を収めてきたが、ジュニアパンパシフィック選手権の出場権獲得につながる今大会は、中山選手にとって〝初の日本代表入り〟が懸かる大舞台。「自己ベスト更新」と「日本代表入り」を目標に週6日、一日平均7000㍍のトレーニングに励み、技術や体力の向上はもちろん、精神力も養ってきた。

迎えた大会初日の予選は15分30秒88で4位通過。高校生で唯一の決勝進出を決めた。翌日の決勝では、15分33秒23で社会人選手5人に続く6位着。見事入賞を果たしたが、目標の自己ベスト(15分26秒66)には届かなかった。

今大会で泳ぐのは、普段練習している25㍍の短水路ではなく、50㍍の長水路。約1カ月ぶりの長水路に感覚をつかみ切れず、「800㍍までは自己ベストと同じペースで泳げていたけれど、途中でばててしまい、自分の泳ぎができなかった」と悔しさをにじませる。

決勝後、思うようなレース内容ではなかったことに悩む中山選手は、会場にいた同クラブの卒業生で、昨年現役を引退した海南高校出身の山本耕平さんと直接話す機会に恵まれた。

競泳男子1500㍍自由形の日本記録(14分54秒80)を持つ山本さんに「呼吸のタイミングがうまくいかない」など、気になるところを相談。「呼吸の時間が長いのでコンパクトに」などとアドバイスを受けた。その言葉を意識して臨んだ800㍍自由形では、自己ベストの8分5秒37に迫る8分5秒53を記録し、8位入賞に食い込んだ。

現地で奮闘を見守った楠本コーチは「代表を狙いにいく意識で練習を積み、予選、決勝と2回泳ぐ準備ができていたからこそ、高校生でも入賞に食い込めた」と話し、「大したもん」とたたえた。

今大会後、中山選手は見事ジュニア日本代表に選出され、8月にハワイで開かれる「第9回ジュニアパンパシフィック選手権」への出場を決めた。「初の代表入りは素直にうれしい」と喜ぶ中山選手だが、その表情は少し暗い。「代表入りが決まった後、ほっとして、一度気持ちがリセットされてしまった」とモチベーションの維持に悩みを抱える。

楠本コーチによると、代表権をつかんだ選手がそこで満足してしまうのはよくあることだという。「諦めない気持ちで練習を積み重ね、海外選手の体格差などに臆することなく、『ベストを出すんだ』という強い気持ちが大切」と伝え、「オリンピックなど、さらに一歩踏み出すためには海外で結果を出さないと」と奮い立たせる。

中山選手は「ここから気持ちを切り替え、どれだけ頑張れるかが課題」と自身に活を入れ、「決勝進出」を目標に定める。「諦めない心で食らいつきたい」と気持ち新たに、世界の大舞台でさらなる高みを目指す。

日本選手権で入賞した中山選手

日本選手権で入賞した中山選手

 

パルポートワカヤマで練習に励む中山選手

パルポートワカヤマで練習に励む中山選手