梅収穫ワーケーション 都会の125人体験

和歌山県のみなべ町内で今月1日から30日まで、梅農家の作業を手伝いながら、パソコンなどを使って自身の仕事をする「梅収穫ワーケーション」が行われている。新しい働き方を提案、実践する全国組織の「Team WAA!」が、世界農業遺産活性化プロジェクトとして企画。東京、大阪などから経営者や会社員ら125人が参加しており、貴重な収穫体験や美しい自然環境などが好評となっている。

Team WAA!は、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社人事総務本部長の島田由香さん(48)=東京都=が主宰、テレワークなど場所や時間にとらわれない働き方のスタイルに共感する企業、団体、個人のネットワークで、メンバーは北海道から沖縄まで約2500人。今年から「世界農業遺産×ワーケーション」と題して世界農業遺産の認知度アップと地域活性化を図る取り組みをスタートさせており、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」のエリアとなるみなべ町での今回の企画が第1弾。以前から白浜町でワーケーションを実践している島田さんが昨年12月、みなべ町内の梅加工業の若手4人と知り合ったことがきっかけとなった。期間中、参加者はそれぞれの日程で宿泊施設に数泊しながら自身の仕事をこなし、町内で協力を得た農家10軒の畑で梅の収穫を体験している。

4日には西岩代、なかはや果樹園代表の中早大輔さん(40)の畑でコンテナを椅子代わりにした意見交換会も開かれた。島田さんは「どこにいてもいつでも、仕事は結果を出せればOK。今回の梅取りの体験は頭と体がリフレッシュされ、仕事の効率が上がります。来年以降も梅収穫ワーケーションを継続していきます」と述べた。

2泊3日で滞在している神奈川県の電子部品商社で働く深瀬和美さん(51)は、「梅取りは初めてで大変でしたが、とても新鮮な気分。夕日や星空もきれいで、また来たいです」と笑顔。中早さんは「こういった取り組みが日本の食をより深く考える機会になる。都市部との関係人口増加にもつながります」と話していた。

中井寛日高振興局長や西本豊みなべ町副町長らも参加し、町内でのワーケーションを歓迎。将来的な移住・定住に期待を込めた。

島田さんらは国民宿舎紀州路みなべで4月1日オープンしたワークスペースの利用も体験。宿泊者は無料、一般は1時間400円で利用できるコワーキングスペースでは窓の外に広がる青い海と緑の木々のコントラストに、「リラックスできる最高の景色」と絶賛していた。

梅の収穫を体験する参加者

梅の収穫を体験する参加者