長保寺で納骨式 紀州徳川家19代当主の母

紀州徳川家の菩提寺である海南市下津町上の国宝・長保寺で25日、紀州徳川家19代当主徳川宜子(ことこ)さんの母、故・徳川寶子(とみこ)さんの納骨法要が営まれた。寶子さんは3月21日に脳梗塞のため、95歳で死去した。

寶子さんは、南葵音楽文庫の収集などで知られる16代当主徳川頼貞と為子夫人の長女。母為子の兄は島津家30代当主島津忠重、姉は香淳皇后の母で、寶子さんは天皇家の親族に当たる。

この日、同寺の本堂で営まれた納骨式には、喪主を務めた長女・宜子さん(65)や妹・礼子さん(61)ら関係者7人が参列。同寺の瑞樹正哲住職が法要を執り行った。

同寺は1000年(長保2)創建。1666年(寛文6)、初代藩主頼宣によって紀州徳川家の菩提寺に定められた。境内には、将軍に就任した5代藩主吉宗と13代藩主慶福(後の家茂)を除く、歴代藩主の墓所が設けられている。

法要後、境内にある16代以降の当主と家族らが眠る徳川家歴代の墓に納骨され、見守っていた宜子さん・礼子さん姉妹は静かに手を合わせた。

納骨を終え、宜子さんは「大正生まれの母は、紀州を『心のふるさと』と呼んでいました。これからは景色の良いこの長保寺で、先祖と一緒に私たちやこの地を見守ってくれると思います」と話していた。

 

納骨法要で手を合わせる宜子さん・礼子さん姉妹(左奥)