管理マニュアル案公表 水管橋調査委員会
和歌山市は5日、六十谷水管橋崩落に関する報告書の概要と水管橋維持管理マニュアル案を示した。年に1回だった市の点検は項目を細分化して年2回の実施とし、劣化度を点数化する他、ドローンやロボットカメラを活用した専門業者による点検も導入する。この日、市役所で開かれた専門家による第4回調査委員会でおおむね了承され、完成版は9月中をめどに公表する。
六十谷水管橋は昨年10月3日、七つのアーチのうち中央部分が崩落し、約1週間にわたり市北部全域の約6万世帯(約13万8000人)が断水した。
報告書の概要では、上部のアーチと下部の水道管を縦につないで支える「つり材」の破断が直接的な落橋の原因とし、破断を引き起こした最大の要因は腐食と結論した。腐食対策は塗装で行っているため、維持管理では、塗装の劣化状況の管理が非常に重要と指摘している。
維持管理マニュアル案では、上部工の点検箇所をアーチ材、つり材など七つに分けるのをはじめ、構造部材や付帯設備ごとに項目を細分化し、外面塗装の状況、変形や腐食の有無などを8段階で評価。退色や汚れなどの「景観性」、さび、はがれなどの「防食性」は別に基準を設けて評価する。
市企業局が管理する水管橋は市内に大小約400カ所あり、このうち破損が大規模断水などにつながりかねない六十谷水管橋など7カ所を特別管理対象とし、基幹管路13カ所を設定。同局による定期点検の頻度は、特別管理対象が半年に1回、基幹管路が2年に1回、その他は5年に1回とし、劣化度が一定の点数となった箇所は、重点管理点検に位置付け、回数を増やす。
同局の点検に加え、特別管理対象については、ドローンやロボットカメラなどを活用した専門業者による点検を5年に1回実施する。
調査委は今回で終了となり、座長を務めた鍬田泰子・神戸大学大学院工学研究科准教授は「マニュアルを活用することはもちろん、新たな知見や技術も取り入れながらブラッシュアップしていくこと、また、着実に実行するための組織的な体制を確保することが重要」と講評した。
瀬崎典男市公営企業管理者は「マニュアルができ、これでベストだという気持ちにならず、これでいいのか、これで大丈夫なのかという気持ちを持って維持管理に当たっていきたい」と話した。