鶴保さん圧勝で5選 参院選和歌山選挙区

第26回参院選は10日に投票、即日開票され、和歌山選挙区(改選数1)は自民現職の元沖縄・北方担当大臣、鶴保庸介さん(55)=公明推薦=が、共産新人の前久さん(66)、NHK党新人の遠西愛美さん(37)、政治団体「参政党」新人の加藤充也さん(57)、政治団体「新党くにもり」新人の谷口尚大さん(42)を退け、5選を果たした。

和歌山選挙区には平成以降最多の5陣営が出馬した。前回(2019年)は主要野党が候補を一本化し、自公政権への批判票を集約することで一定の成果を上げたが、今回の選挙協力は限定的で、立憲民主と国民民主は事実上の自主投票となり、候補を立てた共産に積極的な支援はなかった。

一方で、政界の新勢力を目指す3陣営が立ち、独自の戦いを展開した。

こうした野党側の情勢の中、鶴保さんは自公両党の強固な組織力、建設業や観光業など推薦を受けた約200の企業・団体などの支援を背景に、4期24年のベテラン議員としての実績を訴え、終始優勢に戦いを進めた。

ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響などによる物価高騰への対策、外交・安全保障政策などを主な争点に繰り広げられてきた論戦は、最終盤の8日、憲政史上最長の政権を築いた安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃、殺害される事件により、自民などが選挙運動を一時取りやめる事態も発生した。しかし、和歌山選挙区では大勢に影響はみられず、鶴保さんが他の4陣営を退けた。

 

「これから本当の戦い」

開票作業が始まった午後8時、当選確実が早々と報じられると、鶴保さんはすぐ和歌山市六番丁の事務所に姿を見せ、祝福の大きな拍手に包まれた。

支援者から寄せられた花束の贈呈は行われたが、安倍元首相が凶行で死去したことを受け、万歳はせず、静かに黙とうが行われた。

鶴保さんは腕に喪章を着けて登壇し、目を潤ませながら「私たちは見たくない未来を、見たくない現実を正面から受け止めて、共に行動せねばならない」「本当の意味で戦いを進めなければならない。さあこれからだ。武者震いをするような思いでいる」とあいさつ。地方が国の主役になることを目指し、観光政策の推進などに取り組む決意を話した。

事務所には県内の首長、自民党県連の議員、公明党の議員らも駆け付けた。

二階俊博衆院議員は、安倍元首相への凶行について「憎むべき行為に対して、しっかりした対応を取っていかなければならない」とし、「自民党県連は鶴保さんを先頭に、一丸となって県民の要望、期待に応えていきたい」と話した。

目を潤ませながら当選のあいさつをする鶴保さん

目を潤ませながら当選のあいさつをする鶴保さん