桐蔭中3年の園部さんが金賞 少年メッセージ

「少年メッセージ2022」の和歌山県大会(公益社団法人県青少年育成協会主催)が7月30日に日高川町であり、県内八つのエリアから選出された18人が出場。県立桐蔭中学校3年の園部暢也さんの作品「あたたかな輪」が金賞に輝いた。母親の介護という体験に基づき、自身の夢を壇上で力強く発表した園部さんは「何度も練習し、本番では気持ちを乗せて伝えることができた」と笑顔を見せた。

「少年メッセージ」は、中学生が、日常生活の実体験などを通して得た自らの考え方や将来の夢などを発表することで、大人からの理解を深めるとともに郷土の未来を担う世代の育成を図るための大会。県内からは本年度、9838点の作品応募があり、県大会では地方審査で推薦された18人が身振り手振りを交えながら表現豊かに原稿を発表した。

18歳未満で家族の介護や家事をサポートしている「ヤングケアラー」を題材に取り上げた園部さんは、くも膜下出血になって不調をきたした母に対して、きつく接してしまい母に謝らせてしまったという葛藤やその反省などを述べ、ヤングケアラーなどのさまざまな問題を抱えている人たちが生きやすい社会にするために互いに相談し、助け合える社会にしたいという思いを、会場いっぱいに響かせた。

園部さんは今回、題材を選ぶ際にウクライナ情勢、フードロス問題なども検討したが、より自分らしく発表できる「ヤングケアラー」を選択。最初の作品を学校に提出した時は、自身がヤングケアラーだということに気付いておらず、担任教諭の川崎友花さん(25)に「君もヤングケアラーなんだよ」と教えられ、さらに作品を練り上げて深みを持たせた。また同時期に教育実習に来ていた学生が以前に県大会で金賞に選ばれていたという偶然もあり、間の取り方など表現の仕方を教わり、3人で練習を重ねて本番に挑んだ。

会場で発表を聞いていた母の由香さん(47)、父の享さん(51)は「作品はすでに何度も読んで泣いていたはずなのに、壇上で読み出した瞬間にまた涙が溢れました」と感極まっていた。

園部さんの作品は今後、原稿と音源審査で実施される中部・近畿大会に推薦され、さらに通過した場合は11月にオンラインで開催される全国大会(12人)に選出される。

賞状を手に喜びの園部さん(7月30日、日高川町・日高交流センターで)

賞状を手に喜びの園部さん(7月30日、日高川町・日高交流センターで)