感染爆発も致死率最低 第7波の県まとめ
和歌山県は25日、県内の新型コロナウイルス第7波(6月21日~)の現状のまとめを発表した。オミクロン株「BA・5」により、陽性者数は20日時点で第1~6波の合計を上回る5万5862人と爆発的に感染が拡大し、死者は第6波を上回る63人に達しているが、致死率は各波と比べて最低の0・12%にとどまっている。総じて軽症が多いものの、急速に症状が悪化して死亡した事例もみられ、夏場の脱水による影響が考えられる。
第7波は、第6波と同じく、ワクチン未接種者が多い10代以下が感染の中心となって急増し、全体の29・5%を占める。家族内感染などを通じて30代以上に広がり、高齢者施設や病院でのクラスター(感染者集団)多発により、基礎疾患のある高齢者の感染も増加した。
19日までの死者181人の内訳は、男性が54%で女性より多く、年代別では70代以上が93%を占める。第7波の死者は63人中女性が56%で男性を上回り、90代以上が44%と多かったことが一因とみられる。
肺炎の併発や基礎疾患の悪化により急速に重症化し、死亡する事例が多いのも第7波の特徴。発症(無症状者は陽性判明時)から死亡まで7日以内の割合は、第6波の39・3%に対し、第7波は68・3%に達した。脱水が症状悪化の要因の一つとみられ、療養時も適切な水分補給が重要となる。
致死率は、ワクチンがまだなかった第1波が4・76%と最も高く、第2波0・47%、第3波1・56%、第4波2・02%、第5波0・50%、第6波0・14%と推移。
第7波の致死率は、60歳未満は0・009%、60歳以上では0・63%。季節性インフルエンザの致死率(全国)と比較すると、60歳未満は0・01%でほぼ同じだが、60歳以上は0・55%で、新型コロナの方がやや高い。第7波の今後の動向次第では、死者が増え、致死率が上がる可能性もある。県福祉保健部の野㞍孝子技監は「コロナを単なる風邪と考えるのは注意」と述べ、安易に捉えないよう呼び掛けた。
年代別の感染率とワクチン3回接種率の関係をみると、接種率の高い年代の感染率は低い。接種していても感染を完全に防ぐことはできないが、周囲に感染を広げる危険性は下がるため、県はワクチン接種対象者には、改めて接種を推奨している。
新学期が始まり、今後さらに子どもを中心に感染の拡大が考えられ、子どもから家族感染などにより大人に広がることが予想される。
野㞍技監は「感染爆発は新たな変異株の出現や流行を引き起こす可能性がある。感染拡大を食い止めるには、基本的な感染予防策の徹底とワクチン接種しかない」と話し、県民に協力を求めた。