官民連携で課題解決 和歌山市が2社と協定

市政の課題解決に向けて民間の企業や人材の活用、連携をさらに進めるため、和歌山市は5日、㈱官民連携事業研究所(大阪府四條畷市)と協定を締結した。先行的な官民連携事業を実施する企業の紹介、提案などを行う協定で、第1弾として紹介した㈱Another works(アナザーワークス、東京都渋谷区)と市も同日、併せて協定を結んだ。いずれも県内自治体では初めての協定で、多分野での官民連携の発展が期待されている。

官民連携事業研究所は社会課題解決型コンサルティングを手掛けており、市と「官民連携促進に関するパートナーシップ協定」を締結。市への移住定住に寄与する政策提言や先行的な企業との連携事業に関する提案を行う他、市の官民連携事業への助言、対外的な情報発信、自治体間での取り組みの共有、啓発イベントやセミナーを通したノウハウの提供などでも連携する。

同社の鷲見英利代表取締役は「和歌山市と一緒に課題解決の良き前例をつくりたい。全国がならいたくなるような、自治体と企業が連携したモデルになれば」と意欲を示す。

アナザーワークスは、人材マッチングを手掛けるITベンチャーで、金銭報酬のみを目的とする「副業」ではなく、地域貢献やスキルアップを目指す人の経験報酬や感情報酬も含めた「複業」を推進。約950社、4万人が登録する複業人材のマッチングプラットホームを運営している。

市と結んだ「民間複業人材活用に関する連携協定」では、実証実験として、同社のプラットホームを無償で活用し、市の県外広報戦略に関するアドバイザーを募集し、市と共に登用者を決定する。実証実験の成果を踏まえ、同社は複業人材の登用についてのアドバイスやサポートを行っていく。

大林尚朝代表取締役は、同社による複業公募の採用成功率は100%だと自信を示し、「和歌山を愛する人が、複業を通じて和歌山に帰ってくる事例をつくりたい」と話す。

協定の締結式は市役所市長室で行い、尾花正啓市長と鷲見氏、大林氏が協定書に署名した。

尾花市長は「これまでも官民連携に取り組んできたが、協定を機に、和歌山市の地方創生のために、さらに連携を進めて頑張っていきたい」と述べた。

赤ちゃんに優しく 第2弾は宣言賛同

また、官民連携事業研究所との連携の第2弾として、ベビー用品メーカーのピジョン㈱(東京都中央区)が1日に行った「あかちゃんとそなえの輪 推進プロジェクト」宣言に市も賛同。同宣言は、どんな時も赤ちゃんを守り、赤ちゃんに優しい場所をつくるため、「あかちゃんの防災」などの子育ての備えを広めていく内容で、市も赤ちゃんに優しいまちづくりを推進するとしている。

協定書を手に(左から)鷲見代表取締役、尾花市長、大林代表取締役

協定書を手に(左から)鷲見代表取締役、尾花市長、大林代表取締役