自民県連、一転し岸本氏推薦へ 知事選

自民党和歌山県連は23日、拡大役員会を開き、任期満了に伴う知事選(11月10日告示、27日投開票)の対応について、党本部と県連の協議の結果に従うことを決めた。自民には前国民民主党衆院議員の岸本周平氏(66)が推薦依頼を出しており、県連は政策協議を進める方針。県連が一度は決定していた和歌山市出身の総務官僚の擁立は「自然消滅」(出席者)となり、異例の野党系候補への推薦に向け、党内手続きを急ぐ。

知事選を巡っては、今月3日に県連が総務官僚の推薦を決定していたが、県内21市町村でつくる県町村会が8日、岸本氏の推薦を決めたことから、世耕弘成参院幹事長(県連副会長)は13日、擁立の見送りを示唆。20日には岸本氏が党本部で茂木敏充幹事長らと面会し、推薦を要請しており、党本部は県連の意見集約を再度求めていた。

こうした情勢を受け、拡大役員会は和歌山市内のホテルで開かれ、県連所属の国会議員や県議、県連各支部の代表ら約80人が出席した。

出席者によると、県町村会が県連の当初の決定に歩調を合わせなかったことを批判する意見が出たが、町村会からは、県連から事前に意見聴取はなく、独自の決定は当然とする反論があったという。

出席者の一人は「こんな局面は県連で今までなかった。支援団体の意見を聞かず、勝手に県連の役員で走ったことで齟齬(そご)が起きた」と漏らした。

国会議員からは、知事選で敗北すれば政権へのダメージが大きいとして、党本部が〝勝てる候補〟として岸本氏の推薦に前向きとの話もあり、党本部と県連の決定に一任することで出席者の賛同を得られたという。

終了後に記者団の取材に応じた山下直也県連幹事長は「一番に考えなければいけないのは県民の皆さんの幸せ。政策が一致することが大きなポイントだ」と述べ、岸本氏との政策協議を速やかに行う方針を説明した。

県連会長の二階俊博元党幹事長は「とにかく一致団結して、いい県政をつくっていくためにこれから頑張るということだ」とし、岸本氏の推薦については「これからだんだん、そういうことも流れができていくだろう」と語った。

公明党は自民の決定を待たず、知事選を自主投票とすることを決定。現職の仁坂吉伸知事の選挙では4回とも自民と共に支援してきたが、今回は対応が分かれることになった。

これまでに知事選に立候補を表明しているのは岸本氏のみだが、共産党と政治団体「新党くにもり」が独自候補を擁立する方針。

記者団の取材に応じる二階県連会長

記者団の取材に応じる二階県連会長