深海産業の棕櫚ほうき ギフトショーでGP

棕櫚(しゅろ)縄や緑化資材などの卸売りや販売を行う、和歌山県海南市阪井の深海産業㈲(深海寛昭代表取締役)の商品「新・棕櫚ほうき」が、国内最大のギフト・雑貨の国際見本市「第94回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022」で、グランプリに選ばれた。

ギフトショーには全国から1988社が出展し、3日間で19万2334人が来場。「新商品コンテスト」「輸入品人気コンテスト」「女性のハートをキャッチするギフトグッズコンテスト」「キッチン&ダイニンググッズコンテスト」の中からグランプリを決めた。

深海産業の新・棕櫚ほうきは「新商品コンテスト」にエントリー。来場バイヤーや著名デザイナーらにより、独創性や品質基準、安全性などを基に審査され、400社以上の中から選ばれた。

ほうきの持ち手部分には同市の塗り職人YOSHIHIKO FUJII(藤井嘉彦)さんが漆塗りを施し、芸術性と機能性を兼ね備えたこれまでにない新たな工芸に仕上がっている。同社は1982年に設立。同社3代目の専務取締役、深海耕司さん(38)は「さまざまな人の魂がこもった商品。藤井さんや職人、関わったみんなで取れた賞。感謝しかない」と喜びをかみ締めた。

これまで同社は緑化資材全般を中心に展開していたが、深海専務が「ものづくりに特化しよう」と4年前からほうき作りを本格的にスタート。室内で使いやすい国産棕櫚ほうきや屋外用国産シダほうき、掃除小物など1本ずつ職人が手作業で製作している。繊維を抜けにくくする製法や耐久性の増強のため、棕櫚ほうきの繊維部分は三つ編みを施すなど改良を重ね、使い手の気持ちに寄り添う商品作りを目指している。

同社の棕櫚ほうきはコシがあり、しなやかな掃き心地が魅力。長く使える一生ものとして好評を得ている。月に数本しか作れないため、注文してから手元に届くまで2カ月以上かかるという。

「新・棕櫚ほうき」は、藤井さんに棕櫚ほうきの持ち手の塗りを依頼したのがきっかけでできたもの。深海専務は仕上がりを見て「藤井さんが塗りを施したほうきは魔法にかかったように美しい」と絶賛したという。

さらに、ほうきの繊維の部分に特殊コートを染み込ませるという藤井さんの新発想により、新たな工芸品ができたことで同ショーへの出展を決意。特殊コートで繊維の並びが良くなり、滑らかで、耐久性が良くなった。

深海専務は「和歌山といえば『棕櫚』と、名前を残すのが3代目としての役割かな」と笑顔。「伝統が途絶えないよう、伝えやすい新しい形で引き継いでいけたら。海南から世界に発信していきたい」と話している。

同商品は今後、新商品として発売予定。その他の同社商品は、海南市藤白の「3時のかんぶつ屋さん」で購入できる。

深海代表(前列左から3人目)と深海専務(左端)、従業員の皆さん

深海代表(前列左から3人目)と深海専務(左端)、従業員の皆さん