大玉でありながら緻密な肉質「嶺鳳」

前号では、産毛がない希少な桃で、県内でも栽培されている「ネクタリン」を取り上げた。今週は「嶺鳳(れいほう)」を紹介したい。
嶺鳳は、1976年に山梨県で「あかつき」の枝替わりから発見し育成された品種。産地にちなみ「アルプススイート」という別名がある。
果実が大玉であるのが特徴で1玉400㌘程度の大きさ。全体的に赤く色づきやすく、果肉は白く種の周囲が少し赤い。硬めで緻密な肉質であることから日持ちに優れる。
購入してすぐは硬さがあるため、十分に熟してから食するのがおすすめ。包丁を入れると断面から果汁がにじみ出るほど果汁が多め。果肉が硬めであることから容易に種を取り出すことができ、切っても実が崩れることなく、ほどよい食感がある。食してみると芳醇な香りがあり、糖度が高くおいしくいただくことができる。
親の品種であるあかつきは、全国1位の栽培面積を誇り、桃全体に占めるシェアは約15%。その品種から生まれた嶺鳳は全国13位の栽培面積で、桃全体に占めるシェアは1%程度。まだまだ一般的ではない品種であるが、大玉で見栄えがあり日持ちがすることから贈答品として人気が高まっている。
農水省統計によると、産地の第1位は山梨県(77・2㌶)、第2位は和歌山県(12・2㌶)となっており、第3位以下の記載はない。収穫時期は7月中旬から下旬頃の短い期間で栽培量も少ないことから、店頭で見つけづらい品種。来年の夏、目にすることがあればすぐに購入し、その味わいを楽しんでほしい。
(次田尚弘/和歌山市)