和歌山市民オペラ協会 佐川音楽賞受賞
和歌山市民オペラ協会(多田佳世子会長)が昨年11月に公演した新作オペラ「稲むらの火の物語~梧陵と海舟」が、「第20回佐川吉男音楽賞」に輝いた。県の団体としては初の受賞。多田会長ら関係者は10月28日、県庁と和歌山市役所を訪れ、受賞の報告をした。
同オペラは、紀の国わかやま文化祭2021に合わせ、昨年11月14日に和歌山城ホールで公演。安政南海地震(1854)の津波で村人を救った故事「稲むらの火」で知られる広川町の商人・濱口梧陵と幕臣・勝海舟の友情を描いた物語で、主演を務めた男性ソリスト2人の他、同協会のメンバーや同市の喜多流能楽師・松井彬さん、地元の子どもたち6人らが出演。岩田達宗さんが演出、多田会長がプロデュースを手掛けた。
同賞は、地域のオペラや音楽活動の振興を目的に制定されたもので、今回のオペラの物語の構成や出演者の好演、そして25年以上にわたり、地域の音楽文化向上に貢献してきた同協会の功績が高く評価された。
同日、多田会長をはじめ、舞台で梧陵の妻を演じた同市のオペラ歌手・久保美雪さん、同市のピアニスト・宮井愛子さん、同協会顧問の高嶋洋子さんの4人が県庁に仁坂吉伸知事を訪問。
同会を立ち上げて約30年、「本格的なオペラを和歌山で」と、絶え間なく活動を続けてきた多田会長は「オペラはチームでつくるもの。なかなか頂けない賞を頂き驚いている」と笑顔で報告した。
その後、訪れた同市役所では、尾花正啓市長が「市としてもうれしいし、県民の誇り」とたたえた。
多田会長は「オペラは音楽の一番の根幹。和歌山に根付かせるには続けるしかないとめげずにやってきた」と振り返り、受賞については「こんなにうれしい勲章はない、30年間やってきて良かった」と話していた。