人の結び付き誇りに 山口小150周年

ことし創立150周年を迎えた和歌山市立山口小学校(同市里)で6日、150周年記念祭を兼ねた「第34回山口地区文化祭」が開かれ、幅広い世代が一丸となって地域の歴史と伝統を振り返りながら盛大に祝った。

同校は1873年4月1日、市内では4番目の小学校として旧紀州藩山口御殿跡に「山口尋常小学校」として開校。1900年には滝畑分校(2015年廃校)が設置され、1959年に山口村が同市に合併となり、現在の校名となった。

記念すべき節目を盛大に祝おうと150周年記念事業実行委員会を発足させ、準備を進めてきた。54年度の卒業生が植樹し、3年前に伐採されたメタセコイアを使い、幹に校章を手彫りしたモニュメントを制作。鳥小屋は、分校があった滝畑産ヒノキの大黒柱を使って改修され、東屋「がぜぼっくり」として憩いの場に生まれ変わっている。

コロナ禍で3年ぶりとなる文化祭では、模擬店や菊花展、かかしの展示なども行われ、朝から多くの人でにぎわった。敷地内の「みらい館」には沿革史や写真、昔懐かしの生活用品など、150年の歴史を伝えるさまざまな資料を展示。中には、かつて授業の始まりの合図に使われていたというベルもあり、自身も同校の卒業生という中野延夫さん(86)は「先生が廊下を歩きながらベルを鳴らしていた記憶がある」と懐かしそうに目を細めた。

記念式典は体育館で行われ、同地区文化祭実行委員会の平岡卓治委員長が「人のつながり、結び付きを誇りに思う」とあいさつ。川畑豪則(たかのり)校長は「たくさんの子どもたち、先生方、保護者、地域の方々に支えられて素晴らしい歴史と伝統を築き、つないできました」と話した。

150周年記念事業実行委員会の谷口香世委員長は「150周年を経験した子どもたちが200周年事業を企画してくれれば」と願い、校章のモニュメントを制作した同地区の宇治八さん(84)に感謝状を手渡した。宇治さんは「山口に生んでもらって育ててもらって、きょうこの日を迎えられてうれしい」と喜んだ。

舞台発表では、150周年準備作業の記録が上映された他、山口こども園の年長児らの太鼓演奏や、琴伝流大正琴ひまわりサークルによる大正琴の演奏が披露された。

同校3年生の女子児童は「生まれ育った山口地区が大好き」とにっこり。「200周年には子どもとかと一緒に来たい」と話した。

「はすぴー」伝統に 公式キャラが誕生

150周年を記念して同校では7月、同校の公式キャラクターを募集。100作以上の中から、10作品が入選し、全校児童約250人による投票の結果、6年生の貴志遥さん(12)が考案した「はすぴー」が選ばれた。

「はすぴー」は、校章の葵の御紋と庭のハスの花をモチーフに描かれており、すでに公式キャラクターとして、制服や体操服、野球ユニフォーム姿など、さまざまなバージョンが誕生している。

文化祭を前に、同校では4日、児童らだけの記念式典が行われ、川畑校長から貴志さんに表彰状と副賞が贈られた。貴志さんは「結構悩みながらも頑張って作ったので選ばれてうれしい」と笑顔。

川畑校長は「200周年を迎えた時、はすぴーが新たな伝統として受け継がれるのかなと想像するとワクワクする」と伝え、貴志さんは「200周年の時は新たなキャラクターが登場して、はすぴーとコラボレーションしてくれれば」と未来に希望をはせた。

6年生が主催した式典では、同地区の歴史発表や○×クイズが行われ、児童らは歴史を楽しく学びながら盛り上がった。

また5日は、前夜祭として秋の花火大会が行われ、同地区の夜空に花火が上がるなど、3、4世代にもわたる地区全体で150周年を華やかに祝った。

宇治さん㊨に感謝状を手渡す谷口委員長

宇治さん㊨に感謝状を手渡す谷口委員長