農業×商業 高校生がネットで販売

和歌山県内の農業高校の生徒が製造した農産物の加工品を、商業高校の生徒がECサイト「メルカリShops」を通じて販売する連携プロジェクトの第2弾がスタート。今回は紀北農芸(かつらぎ町)の生徒が製造した7種類のジャムを、和歌山商業(和歌山市砂山南)の生徒が同サイト内に開設したオンラインショップ「こだわりのうじょう」で販売する。「忙しい日の朝食に、手軽においしく食べてもらいたい」と呼び掛けている。

メルカリShopsは、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」で知られる㈱メルカリのグループ会社、㈱ソウゾウが開発し、運営するECサービス。個人の不要なものを販売するメルカリとは違い、事業者や法人、ものづくりをする人らがスマートフォンで手軽に出品できる。

ソウゾウはことし4月、「メルカリShops×高校生等の教育連携プログラム」を開始。全国に先駆けて7月、南部高校が製造した4種類のジャムを販売したところ、約10日間で200個が完売し、好評を得た。

以降、全国の高校生らが地元商店の商品を同サービスで販売するなど、各地でプログラムが進められているが、高校生が製造から販売まで一貫して行っているのは、全国で和歌山県のみ。

第2弾は、紀北農芸が県内各地の農家から仕入れて加工したジャム7種類を瓶ではなく、パウチ容器で販売する。スパウト付きでスプーンが要らず、より手軽に味わえる上、瓶よりも送料が抑えられるため、リーズナブルな販売価格を実現。ラベルの色やデザインで高級感を演出するなど、工夫が凝らされている。

販売開始日の7日、和歌山商業高校で出品前の最終確認会議が開かれ、紀北農芸の生徒らがオンライン上で見守る中、和歌山商業の生徒が出品作業を行った。

紀北農芸の生産流通科3年生、井上世菜さんは「たくさん売れたらうれしい」と笑顔。和歌山商業で同プロジェクトに取り組む商業研究部の部長、1年生の藤田陽菜乃さんは「無事にスタートできて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せ、「形としてお客さまに届けられるのがうれしい」とほほ笑んだ。

プロジェクト機に 商業研究部活動再開

同部は部員が集まらず活動が止まっていたが、ことし4月に「メルカリShops」のプロジェクトを活動内容に掲げたところ、1年生5人が入部。5人は週に3日集まり、第1弾終了後もコンセプトの練り直しや反省会、紀北農芸での試食、取材、ラベルやチラシ作りなどに励んできた。

藤田さんは普段何気なく手に取っている商品に対し、「より良い商品にするために大人がすごく長い時間をかけてやっているんだなと苦労が分かった」と話し、小栗美羽(みう)さんは部活動を通じて面白さに気付いたとして「将来は商品開発をするような仕事に就きたい」と夢を膨らませている。

2種セット1200円~。購入は同サービス内のオンラインショップ「こだわりのうじょう」で。25日午後1時まで。

ジャムを手に笑顔の和歌山商業高校・商業研究部の皆さん

ジャムを手に笑顔の和歌山商業高校・商業研究部の皆さん