和歌山市で鳥インフル 4万6000羽殺処分へ
和歌山市の養鶏場で複数のニワトリが死んでいるのが見つかり、県の検査で11月30日、高病原性鳥インフルエンザと確認された。県は午前9時から県庁で対策本部会議を開き、この養鶏場で飼育する約4万6000羽の殺処分を決め、開始した。今シーズンの鳥インフルエンザ発生は、先月のアドベンチャーワールドに続いて県内2例目、全国では21例目。
県によると、29日午前、同養鶏場から県家畜保健衛生所に、ニワトリ9羽が死んでいるとの連絡があり、県はこの9羽と同じ鶏舎の生きたニワトリ2羽の計11羽の簡易検査により陽性を確認。さらに遺伝子検査(PCR検査)を行い、30日早朝に鳥インフルエンザと確定した。
2020年12月に紀の川市で発生した鳥インフルエンザでは、約6万7000羽の殺処分に自衛隊の派遣を要請したが、今回は要請せず、県職員で作業を行う。1班150人、一日4班の交代制で延べ約2800人の動員を予定し、殺処分と養鶏場内の消毒を含め、4日に防疫措置の完了を見込んでいる。殺処分したニワトリの焼却は、和歌山市の青岸エネルギーセンターで行う。
対策本部会議で仁坂吉伸知事は、家畜伝染病予防法に基づく殺処分の命令を出し、作業に当たる県職員に「あまりやりたくない仕事だろうけれども、県民のために我慢してやってください。頑張って抑え込みましょう」と呼び掛けた。
会議に先立ち、第1班の県職員は午前8時前にバス5台で県庁から現場へと出発し、命令発出を受けて9時20分に作業を開始した。
同養鶏場から3㌔圏内では卵や家禽(かきん)の移動が禁止、3~10㌔圏内では区域外への搬出が禁止され、出入りする畜産関係車両は、市内3カ所に設けた消毒ポイントを使用する。
搬出制限区域内では、3カ所の養鶏場で約3050羽が飼育されており、防疫措置完了から10日経過後(15日予定)に制限を解除。移動制限区域の解除は21日経過後(26日予定)となっている。
対策本部会議後に記者会見した仁坂知事は、全国各地での鳥インフルエンザ発生を受け、10月下旬から県内の家禽飼育農場への巡回指導などを行ってきたと明かし、「よほど気を付けていても、ちょっとでも隙があるとウイルスは侵入する。感染を出した人を非難するようなことがあってはいけない」と述べた。
また、農場以外でニワトリなどを飼育している一般県民に対しても、感染防止の徹底、異常があればすぐに届け出ることを呼び掛けた。