価格転嫁へ環境整備を 公取委が有識者と懇談

公正取引委員会(公取委)と和歌山県内の経済団体や学識者らとの懇談会が11月30日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で開かれ、中小企業が労務費、原材料費やエネルギーコストの上昇分を適切に価格転嫁できるよう意見を交わした。

懇談会は、公取委の委員が各地方を訪問し、独占禁止法(独禁法)などについて普及啓発を行う「一日公正取引委員会」の一環。地域の意見や実情を把握し、今後の施策に生かすのが目的で、公取委の委員が和歌山に来るのは2015年以来、7年ぶり。

懇談会には県内の有識者として、県商工会連合会の植田英明会長、㈱テレビ和歌山の大越康臣代表取締役社長、和歌山大学経営学部の大澤健教授、県商工会議所連合会の竹田純久会長、県経営者協会の田中俊一会長、県中小企業団体中央会の玉置篤会長、和歌山経済同友会の田谷節朗・山下郁夫両代表幹事の計8人が参加した。

公取委は昨年12月、中小企業庁や事業所管省庁と連携し、「価格転嫁円滑化スキーム」を構築。また、人権費や原料費の上昇を取引価格に反映しない「買いたたき」に関する執行強化や、独禁法に基づき、転嫁拒否行為が確認できた企業名を公表する適正な価格転嫁の実現に向けた総合点検などに取り組んでいる。

懇談会に参加した有識者からは、各団体が行った内部調査アンケートの結果について「価格転嫁ができていない、できていても一部に限られる」「人件費などの間接費は取引先に交渉するのが難しい」といった現場の厳しい状況を届け、「自助努力ではできないこともあり、行政としてしっかり監視活動、転嫁を促進しやすい環境整備に力を貸してほしい」と要望を出した。

公正取引委員会の吉田安志委員は「価格転嫁の現状の厳しさを聞くことができた。関係省庁との施策を今後も強く推進していきたい」と話していた。

吉田委員(左側中央)と有識者との懇談会

吉田委員(左側中央)と有識者との懇談会