Z世代も身近に 和歌山市議会の広報改革
住民に最も身近な政治の場として、地方議会の活動をもっと知ってもらおうと、和歌山市議会が広報改革に取り組んでいる。今月公開した最新のPR動画は、議場でのショートコント、大学生による市議会紹介などの内容で、スマートフォンやSNSを使いこなす若者をターゲットにしたもの。手に取りやすい広報誌作りなども進めており、戸田正人議長は「単なる広報ではなく、市民の声が聞こえる双方向の議会を目指している」と話す。
市議会が広報改革を本格的にスタートさせたのは2017年。市民モニター会議を開き、年4回発行の「わかやま市議会だより」などに対する率直な意見を元に改善に着手。18年3月には、市議の任意組織だった市議会広報委員会を、会議規則に基づく正式な組織とし、市議会全体で改革を進める体制も整えた。
従来の「市議会だより」の表紙は、市議の集合写真などが使用され、文字も多く、「手にとってもらえるのか?」との声があったが、先駆的な取り組みをしている市内の団体や企業、人物などを一枚写真で取り上げ、中のページにその特集記事を掲載するなどのスタイルに改めた。
成果は現れ、中核市議会議長会の「議会報コンクール」で、19~21年の3年連続入賞を果たし、他市の議会が視察に訪れるまでになった。
市議会公式のSNS(フェイスブック、インスタグラム)アカウントも設け、ユーチューブの公式チャンネル(別掲二次元コード)も開設。本年度は、「Z世代」と呼ばれる20代前半ごろまでの若者への広報に特に力を入れている。
PR動画の新作では、大学生3人を起用した作品を2本制作。3人が市内のSNS映えスポットを巡りながら市議会をPRし、市議会が市役所内にあることなどの基本情報を紹介する内容となっており、どちらもスマホで手軽に見られ、拡散もしやすい2分弱に収めた。
さらに、地元の兄弟お笑いコンビ「すみたに」による市議会議場でのショートコント動画を4本作った。いずれも約20秒のコンパクトな長さで、笑いながら市議会に親しめる。
広報委員長も務めた戸田議長は「市民の課題解決の手伝いをするのが市議会の役割。堅苦しさをなくし、興味を持ってもらい、コミュニケーションができる開かれた市議会にしたい」と話し、今後もSNSや動画などを活用し、さまざまな市民の声、意見を聞く取り組みを進めていくとしている。