「故郷に尽くす幸せ」 仁坂吉伸知事が退任
4期16年にわたり和歌山県政運営を担った仁坂吉伸知事(72)は16日、任期満了を迎えた。退任記者会見では、「生まれ故郷のために尽くすという非常に幸せな機会を与えていただいた」と県民や県職員への感謝の思いを語った一方、取り組んできた政策の背景や目的、成果をまとめた約250㌻に及ぶ「政策集」を公表するなど、岸本周平新知事への引き継ぎに最後まで余念のない姿勢で、最後の執務の日を終えた。
2006年11月、県発注工事を巡る官製談合・汚職事件で前知事が逮捕された県政の危機を受け、仁坂氏は翌12月の出直し知事選で初当選を果たした。
就任当初は、官製談合を二度と起こさないため、新たな公共調達制度の確立、知事を含む県職員倫理規則の制定、監察査察制度の導入などにまず注力。県勢浮揚に向けては、道路網などのインフラ整備、企業誘致、各種の産業振興策などを打ち出し、紀伊半島大水害からの復旧、復興と防災対策の強化を進め、任期終盤の新型コロナウイルス対策は、「和歌山モデル」として高く評価された。
退任の日に公表した政策集では、就任以来の多様な政策の中で、「なぜ」「どうして」取り組んだのか、忘れられてはならないものを特に取り上げ、動機、目的意識を含めてまとめた。岸本新知事への引き継ぎ書類の一つでもあり、「県民のための備忘録」とも位置付けた。
退任会見には、知事選への初挑戦以来、自身のイメージカラーとしてきたオレンジ色のネクタイで臨み、笑顔で感謝を口にした仁坂氏。岸本新知事には「県民のために思い切りいろいろ考えて、実行して、活躍していただければ」と期待を寄せ、後を託した。