AIの基板検査システム 太洋工業が開発

和歌山市有本の太洋工業㈱(細江美則社長)は、EV分野などで需要増加が見込まれるパワー半導体向けセラミックス基板において、AI(人工知能)を搭載した外観検査システムを開発したと発表した。従来の外観検査機では判別が難しかったセラミックスのクラック(ひび割れ)や色むらの欠陥検出に効果的で、製品の品質向上や目視確認工程の省力化につながる。

同社によると、セラミックス基板は、耐熱性が高く、扱う電圧や電流が大きいパワー半導体に適している一方、セラミックスの製造過程で、欠陥となりうるクラックや色むらが生じることがあったという。

今回開発したシステムは、製品欠陥の誤検出の低減用途で同社が実用化したAIシステムの学習機能(ディープラーニング)を、独自の外観検査用ソフトに実装し、AI技術による欠陥検出を可能にした。同システムは同社が製造する全ての基板最終検査システムに搭載可能となっている。

パワー半導体は、家電製品や産業機器、車載用パワーモジュールなどに搭載。近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT化のさらなる拡大や5Gの実用化などを背景とする社会のデジタル化の進展、自動車産業の変革などに伴い、半導体市場は活況を呈しており、パワー半導体向けセラミックス基板の性能や品質レベルが高まっている。