和大生開発の筆談具 難聴者が県に寄贈
聴覚障害者とのコミュニケーションツールとして、和歌山大学の学生が企画開発した筆談具「ノートラブル」20冊が23日、県内に住む難聴の匿名希望者から県に寄贈された。
「ノートラブル」を企画開発したのは、同大経済学部の4年生で、柳到亨ゼミの学生チーム「ライクアス」の馬籠(まごめ)莉央さんと上内真尋さん、吉村圭祐さんの3人。
企業から出されたテーマで商品企画を競う「Sカレ(スチューデント・イノベーション・カレッジ)2021」に参加し、大阪のパッケージ制作会社、㈱明成孝橋美術の「社会課題を解決する印刷製品」をテーマに同商品を企画開発した。
馬籠さんがアルバイト先のカフェで聴覚障害者の客とうまくコミュニケーションが取れずに後悔したという経験から、筆談具を企画。開発した卓上カレンダー式の本体には「耳マーク」が描かれており、筆談可能なことが一目で分かる上、指差しをするだけで筆談がスタートできる。
付属の指差しシートには、飲食店や病院など利用先ごとに使用頻度の高い言葉が書き込めるようになっていて、指差し以外の会話も筆談できるホワイトボートが一体となっている。
クラウドファンディングでは支援者が200人を超え、Sカレでは123組の中から総合優勝を果たした。今回、クラウドファンディングを通じて同商品を購入した県内在住の難聴の匿名希望者が、「県の窓口対応の向上に役立ててほしい」と依頼。
3人は同日、県庁を訪問。県障害福祉課の井筒博紀課長に「ノートラブル」20冊を手渡し、馬籠さんは「お客さまとの円滑なコミュニケーションツールとして活用していただければ」と話した。
県では、県内の振興局などに置く予定だとし、井筒課長は「思いのこもった商品を相談窓口に設置し、活用させていただきます」と感謝を伝えた。