3D建築設計ソフト 小池組が和工に貸与

高校生に最新の技術を学んでもらい、建築業の魅力を伝えたい――。総合建設業の㈱小池組(和歌山市六番丁)が最先端技術の3D設計支援ソフトウェア「BIM(ビム)」を県立和歌山工業高校に貸与。来年度から月に1~2回程度、同社の社員が同校で実践的な講習を開き、建築科の生徒らが基礎からBIMの使い方を学んでいく。

BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)は、3Dモデルをベースに建物の設計・検討を進めるソフトウェアのこと。BIMを使うと、実際に建物を建設する前に現実と同じ建物の立体モデルをコンピューター上に構築でき、設計段階から完成イメージを共有できる。

また、一つのモデルを構成する全てのデータが連動しており、内装や外装の色や素材まで、デザインを可視化しながら修正を加えると全てが自動修正されるため、作業時間が圧倒的に短縮できる。

働き方改革に取り組む建築業でもIT化が進み、大手ではすでにBIMを活用しているところが多く、今後主流になっていくと考えられている。

同社でも2019年からBIMを使用。若者の建設業離れが進む中、小池康之代表取締役が「建築業が画期的に変わる可能性のある最新技術のBIMに触れ、その可能性を体感してもらいたい」と願い、同校への貸与を決めた。当初は寄贈も考えたというが、ソフトウェアの開発スピードは速く、常に最新のものにアップデートできるよう貸与にした。

貸与式は同校で行われ、小池代表取締役が「建設業の未来の姿や可能性に肌で触れていただき、しっかり活用してください」とあいさつ。松本泰幸校長に目録を手渡した。

松本校長は「新しい時代の工業教育の第一歩を切り開いていく機会になる」と謝辞。建築科の藤田光男科長によると、地元企業の支援を受けて工業高校にBIMを取り入れている学校は近畿圏で初めてといい、「専門家から教わる機会というのは全国でも初めてだろう」と貴重な機会に感謝した。

この日早速、同社の社員からBIMの使い方を教わった建築科2年の高坪龍司さん(17)は「設計図はアナログで手描きのイメージが強かったので、一気に立体で出せるのは新鮮」と感動。小学生の頃から地図に残るものをつくりたいと言い、夢は建築士。「最新の技術を高校生の時からできるのはうれしい。もっと学びたいし、春から楽しみ」と笑顔で話した。

 

社員からBIMの使い方を教わる生徒たち