和紙で手作り卒業証書 りら高の生徒が挑戦
和歌山県紀美野町真国宮のりら創造芸術高校(山上範子校長)の3年生は17日、同町の「手漉(す)き和紙工房あせりな」を訪れ、和紙の卒業証書を制作した。
同工房は西森三洋さん(54)、有紀さん(55)夫妻が2017年に立ち上げ、自然素材100%の和紙を昔ながらの方法で制作。有紀さんが同校で美術の非常勤講師を務めていることから、他にはない卒業証書を制作しようと4年前に取り組みを始めた。
同工房の和紙は、自家栽培の楮(こうぞ)を使い、独特の風合いに仕上がるのが特徴。楮を蒸して皮をむいた後、皮の繊維を削り出し約3時間煮るという。
あく抜きや不純物を取り除くなどの作業を経て、トロロアオイの根の粘液と水を合わせたものを原料に、昔ながらの技法で作っている。
卒業証書は、中央に校章の透かしが入ったA3サイズ。この日、卒業予定の8人、三洋さんから、和紙の原料や工程の説明を受けた後、1人ずつ、簾(す)を取り付けた木枠の桁(けた)で原料をすくい、縦に横に揺らし和紙を作った。
近藤彩亜良(さあら)さん(18)は「重くて思ったように動かなくて難しかった。自分の手で作る卒業証書は他にはなく卒業してからも大切なものになる。卒業するのは寂しいけど3年間の思いを込めた。仕上がりがとても楽しみ」と笑顔だった。
和紙は半日かけて水分を抜いた後、乾燥させる。生徒たちは卒業式で初めて完成したものを目にするという。