お城の桜、再生進む 県造園協の事業2年目

和歌山県造園建設業協会(吉本忠生会長)が創立50周年記念事業として取り組んでいる和歌山城公園(和歌山市)の桜再生事業が2年目を迎え、22日に作業が始まった。ことしは二の丸広場まで対象範囲を広げ、同協会の職人ら約50人が弱った枝の剪定(せんてい)などに取り組んでいる。作業は23日も続けられ、木々の状態を一つひとつ確認しながら、樹勢回復を図る。

同公園には昭和40~50年代に植えられたソメイヨシノを中心に約600本の桜があるが、樹勢が衰え、内部の腐食や菌類の繁殖などもみられる。ことし50周年を迎える同協会は、昨年2月に市と協定を結び、桜再生事業を開始した。昨年は、花見スポットとして人気が高い、大手門から岡口門にかけての約250本を治療。樹木医の調査では、剪定箇所の多くから萌芽が確認され、おおむね順調な経過となっている。ことしは二の丸広場周辺の約170本を追加し、作業を進める。

22日朝、作業の開始式が行われ、尾花正啓市長はあいさつで協会の取り組みに感謝。吉本会長は「植物との付き合いは未来を考えなくてはいけない」とし、回復した桜を、多くの人々が長く楽しめる将来を見据えた作業を呼び掛けた。

職人らは、大型の脚立などを使い、木の弱った箇所に栄養が行き渡るよう、余分な枝を落とし、葉に十分な光が当たることなどに配慮した剪定を行い、切った箇所には殺菌と防腐の薬剤を塗った。

同公園は国指定史跡の文化財であり、土壌を掘って改良することや新たな植樹が困難で、治療には制約がある。同協会顧問で日本樹木医会県支部長の山本聰洋(としひろ)さんは「今ある桜の木を大切に、長生きするようにしなければいけない。花が咲いている時期以外の取り組みが大切。もう少し、普段から桜に関心を寄せてほしい」と話していた。

剪定した枝に薬剤を塗る作業員

剪定した枝に薬剤を塗る作業員