森田健作さん講演 世界遺産PJ準備会25周年で
「熊野古道」を世界遺産に登録するプロジェクト準備会は2月25日、発足25周年記念講演会を和歌山市の和歌山城ホールで開いた。県を舞台にした映画に主演した俳優、元千葉県知事の森田健作さんが登場し、「和歌山にはポテンシャルがある。磨き、育てるのは皆さん」「努力は決してうそをつかない」などと力強く語った。
同会は、熊野古道が世界遺産に登録される7年前、1997年から登録推進の活動を始め、登録が実現した後も魅力発信などの取り組みを続けている。
同会運営員代表の小野田真弓さんはあいさつで、「紀伊山地の霊場と参詣道」が数少ない道の世界遺産であることを強調。会の名称を「準備会」のままにしているのは、初心を忘れないことや、まだ登録されていない古道もあり、さらなる保全と活用を続けていく思いを込めていることを紹介し、「この大切な宝物を未来の子どもたちに残していけるように、一緒に活動し、また歩いていただければ」と会場に呼び掛けた。
森田さんは、県を舞台に高校駅伝に取り組む教師と生徒の交流を描いた青春映画「ランニングフォーエバー」(1992年)に主演。同作は、地域振興を目指し、県青年団体連絡協議会が森田さんらに呼び掛け、製作が実現したもので、公開30周年を経て、当時の連絡協メンバーらも会場に訪れる中、講演が行われた。
森田さんは、当時の和歌山の青年たちの熱意に動かされ、映画作りを引き受けたことを紹介。同作を実現させた取り組みについて、「俺たちだってできないはずはない、という人が必ず出てくる」と、次の世代の挑戦を触発するものだと振り返った。
世界遺産登録についても、「小さな青年たちの魂が世界遺産を実現させた。積み上げが大事だ」と述べ、俳優、政治家としての自身の経験も紹介しながら、「私たちには振り返っていろんなことがあったはず。経験したことをかみ砕いて話してあげたら子どもたちのためになる。子どもたちに夢を与えるのは私たちだ」と呼び掛けた。
また、元県世界遺産センター副主査の仲克幸さんが「世界遺産の現在、そして今後に向けて」と題して講演。世界遺産の理念や登録基準などを紹介し、「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録について、「文化の道」「聖なる山」など新しい考え方や類型を打ち出した挑戦的なものであったことなどを語った。