和歌浦をブロードウェイに 廣瀬さん活動

「和歌浦をブロードウェイのようなアーティストが育つ場所にしたい」と、和歌山市新和歌浦のアート施設「和歌浦芸術区」の総支配人、廣瀬茂之さん(64)が情熱を注ぎ活動している。昨年12月に「和歌浦ブロードウェイ」と題したエンターテインメントショーを初開催。12日にも新たな出演者を迎え、第2回を開く。

廣瀬さんはバリ島の芸術に魅了され、絵画を展示するギャラリーを作ろうと、1999年に大阪から和歌山に移住。私設美術館を開館し、和歌浦を舞台にした映画も制作した。

2019年に和歌浦湾を一望できる元高級料亭石泉閣を改装し、ギャラリーやシアター・ホールを備える「和歌浦芸術区」をオープン。美術、音楽、演劇、ダンスなど幅広いジャンルで、地元アーティストに発表の場を提供してきた。

「和歌浦ブロードウェイ」は、アーティストたちの交流、発信の場をつくり、県内外だけでなくインバウンド客を取り込もうと企画。初回はダンスや楽器演奏、映像表現など、さまざまなジャンルのメンバーが出演し、満席になるほどだった。

廣瀬さんは「ニューヨークのブロードウェイなど海外の観光地のように、昼間は観光、夜はショーを楽しむ文化が和歌浦に根付けば、1週間に1回、毎日でも行いたい」意気込む。

今後も、無名でもブレイクする可能性を感じるアーティストを集め、3カ月に1度、イベントを開く予定という。

和歌浦ブロードウェイに出演するのは、廣瀬さんが県内の劇場やライブハウスで出会ったり、SNSで見つけたりしたメンバー。「和歌山に可能性のある人材はたくさんいるが、プロを目指すと東京に行ってしまうので育たない。毎日ショーをすることで和歌山在住でもアーティストが稼げたり、海外の観光客の目に留まったり、ブレイクする可能性も広がると思う」と話す。

3月12日の公演は、「春は恋の予感」をテーマに8組が出演。尺八と箏の邦楽アンサンブルTAZの団は、映画「タイタニック」の主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」など3曲を演奏。尾上一樹さん(36)と峯奈緒香さん(35)は、絵本を朗読し、その世界をパントマイムで表現する。

2人は「言葉と合わせてパントマイムする珍しさを楽しんでほしい」とPR。
神奈川県出身で、海南市の長保寺に嫁いだソプラノ歌手、瑞樹比美香さん(36)は、モーツァルトの明るく華やかな曲を披露。

昨年「次世代メジャーデビューオーディション」でグランプリを獲得し、ことしデビューが決まっている、からしこうめさん(25)は宇多田ヒカルの「Automatic」など3曲を熱唱する。

2015年に静岡から和歌山に移住した康香さん(38)は、クレオパトラの人生をベリーダンスで表現。「華やかさ、死に向かう悲しさを踊りで感じ取ってもらいたい」と話している。

開演は午後5時。入場料は1500円で予約が必要。定員80人。車での来場の際は和歌浦漁港駐車場を利用する(一日400円)。予約、問い合わせは廣瀬さん(℡090・7108・1964)。

 

「和歌浦芸術区」前で廣瀬さん