日銀新総裁から姿勢堅持の答弁 自民代表し委員会質問に立つ
任期満了にともなう日本銀行の新しい総裁について、政府から国会に対し、経済学者の植田和男氏の起用案が提示されました。新総裁は国会で承認を得たうえで内閣が任命します。今回の同意人事は衆議院での質疑が先行しましたが、衆議院の議論を踏まえたうえで、「再考の府」である参議院において、不足していた点、曖昧であった点を確認する質疑を行うことができ、大変有意義な日程となりました。
参議院議院運営委員会で、植田総裁候補の所信を聴取し、各党が質疑を行いました。官房副長官、経済産業大臣としてアベノミクスの一端に関わってきた者として、アベノミクスの評価や継承などについて、日銀のトップになる方に直接確認したいことがあり、自民党を代表し、実に10年7カ月ぶりとなる委員会質問に立ちました。
私は、しっかりと雇用を生み出し、国民経済の健全な発展に資することこそが、2%の物価安定目標の意義と考えています。2%の物価安定目標や「YCC(イールドカーブコントロール・長短金利操作)を堅持するか?」を軸に質問しました。植田総裁候補からは、「2%の物価安定目標を達成するまではアベノミクスをしっかり堅持をする」その上で「金融緩和の姿勢も変えない」、「政府と日銀の共同声明も当面見直しの必要は感じない」という趣旨の答弁を引き出し、これまでの日銀の姿勢をしっかり引き継いでくれるものと感じられました。
一方で、物価高に対して政府は、小麦の政府売り渡し価格の据え置き、ガソリンや電力の元売り会社への補助金交付、生活困窮世帯への給付金などを行っています。このような対策の効果が少しずつ現れてきていますが、今後も継続的に行っていかなければなりません。
3月に入り、岸田総理より与党に対し、電気料金や物価の高騰に対応するための追加の経済対策の策定指示が下りました。党内でしっかり検討を行い、3月17日までに対策をまとめる予定です。現在、3月末までの予備費が5兆円残っているため、この予備費をフル活用し、生活困窮世帯をはじめ、特に4月の入学・進学時期を迎える子育て中の世帯など、厳しい状況にある方々には直接的な給付を行っていくべきだと考えています。あわせて、電気、小麦などの分野にはさらなる財政出動を行い、価格自体を抑えていくことが重要だと思っています。
3月1日より参議院で令和5年度予算案の審議が始まりました。
3月は春闘の時期でもあります。政府が求める「インフレ率を上回る賃上げ」を実現するために今年の春闘は特に重要です。経営者が安心して賃上げの判断ができるように、今回の予算案に組み込まれているDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)などを積極的に推進し、また、「金融緩和の姿勢に変更はない」というメッセージを国民の皆さまにしっかり伝えていかなければなりません。