農山村で創業を 紀美野町と和大が学びの場

和歌山大学食農総合研究教育センターと紀美野町は、農山村地域での創業を目指す人や地域への理解を深めたい学生らが学び合う「きみの地域づくり学校」を4月に開校し、生徒募集を始める。活動のキックオフとなるミニシンポジウムが27日、同町下佐々の総合福祉センターで開かれ、県内自治体の職員や教育団体関係者ら約60人が学びを深めた。

農山村では過疎化や少子高齢化が急速に進む一方、「田園回帰」と呼ばれる若い世代の移住も増えている。同学校は、若者が農山村で生活するには「そこに仕事があること」が必要との観点から、産学官が連携し、農山村での起業など「なりわい創り」を応援することを目的としている。

一般住民や地域おこし協力隊、大学生、地元高校生など多世代が集い、大学の有識者や地元事業者などから学ぶ全15講座の「座学編」と、実践者をメンター(助言者)に現場でインターンシップ(6~9回)を行う「実践編」が予定されている。

今回のミニシンポジウムでは、前長野県飯田市長の牧野光朗さんの基調講演「円卓の地域主義~これからの地域づくりに必要な『連携力』とは~」と、「きみの地域づくり学校への期待」をテーマにしたトークセッションが行われた。

小川裕康町長は「農山村におけるなりわい創業を多くの人に受講してもらいたい。受講をきっかけに町への移住を考えてくださる人が増えることを願う。関係人口や滞留人口が増加し、活気とにぎわいのある町になれば」とあいさつ。

牧野さんは、子どもたちが地域を離れるピークの時期は高校卒業のタイミングだとし、それまでに自分の住む町がどんな町なのか学ぶことが大切であり、町の魅力を学ぶことで、「自分の町には何もない」から「戻ってきたい豊かな町」に変わると指摘。「地域を愛し、理解し、貢献する人が増えれば、多世代があり続ける持続可能な地域になる」と話した。

また、産官学が連携し、地域の課題を解決することが求められていることを協調。一緒に取り組みができる人を探し、自己完結型ではなく、連携する力を担う人材の育成が重要だと伝えた。

講演を聞いた、町まちづくり推進協議会の北裕子会長は「若者を入れて議論する『みらい創造会議』を進めている。講演を聞いて、会議をどう進めていけばよいか方向性が見えた。勇気づけられた」と話した。

第2部のトークセッションは、牧野さん、小川町長、和歌山大名誉教授の藤田武弘さん、りら創造芸術高校長の山上範子さん、同大食農総合研究教育センター特任教員の阪井加寿子さんが登壇した。

 

牧野さんが基調講演を行った