トルコ地震支援へ 「海難1890」上映会

トルコ南東部で発生した大地震の被災者を支援しようと、日本とトルコの合作映画『海難1890』(2015)のチャリティー上映会が17日、和歌山市の和歌山城ホールで開かれ、約300人が来場。上映前に田中光敏監督が講演し、映画やトルコへの思いを語った。

同映画は、133年前に串本町沖で座礁したトルコ軍艦の乗組員を町民が救助した「エルトゥールル号海難事故」と、その95年後のイラン・イラク戦争時、トルコ航空によるテヘランの邦人救出劇を軸に、両国の友好の絆が描かれている。

今回のトルコ南東部での深刻な地震被害を受けて、「海難1890」製作委員会と、東映㈱はチャリティー上映を提案。映画に関わった監督、配給会社の東映をはじめ、スポンサーやスタッフなどが「利益を放棄する」という契約書にサインしたという。上映会は串本町や福井県の他、25カ所のイオンシネマで行われ、全国各地で開催への動きが広がっている。

この日の上映会は「NPO法人エルトゥールルが世界を救う」(富田博文会長)が主催。鑑賞料金は全額、駐日トルコ大使館に寄付する。

会の冒頭、来場者は、地震で犠牲になった人に黙とうをささげた。

講演で田中監督は「トルコとの友情の輪をもっと広げ、支援していきたい。映画でそのお手伝いをしたいと思っている」とあいさつ。物語の主人公は、命懸けでトルコの人を救った和歌山の人、そしてテヘランの空港で日本人に席を譲ってくれたトルコの人たちだとし、「その人たちの思いをちゃんと伝えなければいけないと思った」と映画に込めた思いを話した。

日本とトルコで総勢約3万人が出演した撮影の様子をメーキング映像で紹介し、「ワンカットずつ撮影した映像が約1500カットつながって2時間の映画ができる。一つひとつを積み上げていくことで思いを膨らませていく。和歌山とトルコの友情もそう。小さな力でも積み上げれば、とてつもなく大きな山は動き奇跡を起こす。皆さんの力をお借りしたい」とトルコへの支援を呼び掛けた。

 

トルコでの撮影エピソードが紹介された

 

トルコと映画への思いを語る田中監督