妻木良三さんの展覧会 なかへち美術館で

和歌山県湯浅町の美術家・妻木良三さんの作品を紹介する展覧会「侵食する風景」が、田辺市立美術館分館の熊野古道なかへち美術館(中辺路町)で開かれている。6月18日まで。

妻木さんは1974年生まれ、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。98年より鉛筆を用いた絵画制作を始める。東京での活動後、2008年に帰郷し、自坊の本勝寺で僧職を務めながら創作を続けている。16年度、県文化表彰の文化奨励賞を受賞。

妻木さんにとってイメージの〝源泉〟は、布のひだ。柔らかな布で山を作り、そこに現れたひだを具体化することで、波や雲、山といった原始的な風景を想起させる絵画を制作している。

今展では、妻木さんの代表作の一つ「境景」「ZONE」シリーズの絵画や布を使った造形作品など10点を展示。妻木さんがキュレーションにも関わり、空間全体でその世界観を表現している。

展示を担当した田辺市立美術館の知野季里穂学芸員は「妻木さんの不思議な景色を体感してもらえたら」と来場を呼びかけている。

また同期間、本館の田辺市立美術館(たきない町)では、江戸時代後期から昭和にかけて活躍した紀南出身者の画家・青木梅岳(ばいがく、1866~1947)とその弟子の作品43点を紹介。那智の滝や橋杭岩といった紀南の名所の他、琴の浦など梅岳が晩年を過ごした海南周辺の風景が並ぶ。

両館ともに、午前10時から午後5時(最終入館は4時半)まで。月曜休館。

観覧料は、熊野古道なかへち美術館が400円、田辺市立美術館は260円。学生と18歳未満の人は無料。

問い合わせは、熊野古道なかへち美術館(℡0739・65・0390)、田辺市立美術館(℡0739・24・3770)。

妻木さん自身がキュレーションに携わった展示風景(熊野古道なかへち美術館提供)

妻木さん自身がキュレーションに携わった展示風景(熊野古道なかへち美術館提供)