冤罪被害者の半生 4日和歌山市で上映会

冤罪により、29年間獄中で過ごした茨城県の桜井昌司さんの壮絶な人生を描いたドキュメンタリー映画『オレの記念日』の上映会が6月4日午前10時半と午後1時半からの2部制で、和歌山市勤労者総合センター(西汀丁)6階文化ホールで開かれる。

1967年8月、茨城県利根町布川で起きた「布川事件」と呼ばれる強盗殺人事件の捜査が難航する中、同県警は別件で逮捕した桜井さんと杉山卓男さんを長時間にわたって取り調べし、虚偽の「自白」をさせた。

検察は物証がないままに起訴し、78年、当時20歳だった桜井さんの無期懲役判決が確定した。その後、桜井さんは29年の獄中生活を経て仮出獄となり、2009年に再審開始が決定。11年に杉山さんと共に無罪判決、21年には国家賠償裁判で勝訴した。

杉山さんは15年に亡くなり、桜井さんも19年に末期がんのため「余命1年」と宣告されるも、食事療法などを続け、現在も冤罪を訴える人の支援や再審法改正を求めて精力的に活動している。

同作は、無実の罪で逮捕された日すらも「記念日」とし、獄中にいた時から多くの詩を書き留めながら次々と降りかかる困難を言葉の力で超えていく桜井さんの人生を追った感動のドキュメンタリー。

監督を務めた金聖雄氏は「〝冤罪〟という絶望的なテーマを追いながら、〝生きる〟という希望を見いだしていく不思議な感覚を映画を見て体験してほしい」と呼びかけている。

上映会では、桜井さん本人によるトークも予定されている。朝の部、昼の部ともに30分前に開場。入場整理券1000円。

問い合わせは、日本国民救援会県本部内の映画「オレの記念日」自主上映実行委員会(℡073・425・9411)。

『オレの記念日』(日本国民救援会県本部提供)

『オレの記念日』(日本国民救援会県本部提供)