少子化対策は最重要課題 望めば生み育てられる社会を

広島サミットは、G7のみならずグローバルサウスの首脳も原爆慰霊碑に献花し、まさしく意義ある歴史的なイベントになりました。またゼレンスキー大統領が参加し、一堂に会してウクライナ情勢を話し合うこともでき大成功だったと思います。
さて、岸田総理は「重要課題を先送りしない」との強い思いから、原発の再稼働や次世代原発の方向性を決定し、さらにウクライナや台湾有事を念頭に防衛費の増額にも方向性を示しています。そして今、最重要課題である少子化問題に政府を挙げて取り組み、自民党でも活発な議論を重ねています。
2030年代に若年人口は現在の倍速で急減します。政府の試案では今後6~7年をラストチャンスと位置づけ、多様な価値観・考え方を尊重しつつ、若い世代が希望通り結婚し、希望する誰もが子供を生み育てられるようにすること、さらに社会全体にも寄与することから「未来への投資」として、こども・子育て政策を強化するとともに、社会全体で支えていく意識の醸成が必要としています。
そして、基本理念に次の3つを掲げました。第一に「若い世代の所得を増やす」として、賃上げや雇用のセーフティー構築、そして「ライフステージを通じた子育てにかかる経済的支援の強化」。第二には「社会全体の構造・意識を変える」として、「共働き・共育ての推進」、そして「こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革」。第三に「すべての子育て世帯を切れ目なく支援する」として、「すべてのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充」です。
その上で、今後3年間の支援加速化プランの「次元の異なる少子化対策」として、①制度のかつてない大幅な拡充、②長年の課題を解決、③時代に合わせて発想を転換、④新しい取り組みに着手、⑤地域・社会全体で「こどもまんなか」を実現、以上の5つの柱ごとに具体的な施策を明記しています。
これらをもとに財源を含め、政府の有識者による「こども未来戦略会議」が進められ、自民党でも議論を積み重ね、先日の政調全体会議には国会議員100名以上が参加して議論されました。6月をめどに取りまとめられる予定です。
さまざまな施策は、どれも重要です。ただ最も必要なことは、近年に強調される子育てにはお金がかかり、自由が奪われ、自身の人生にとって不利益でつらいことばかりという、結婚や子育てへの意識の見直しではないかと思います。
結婚披露宴に招待される機会もほとんどなくなりましたが、スピーチで必ず申し上げるのは、「人生を一言で表せば『喜怒哀楽』だ」ということです。
一人で暮らしていく人生にも喜怒哀楽があります。しかし、結婚して二人になれば、喜怒哀楽は2倍になります。そして、子供が生まれれば喜怒哀楽は3倍にも4倍にもなっていきます。さらに孫が生まれれば、老後の人生により深い豊かな喜怒哀楽をもたらしてくれます。
まさしく、より幅広く奥深い豊かな人生になると思います。
確かに、悪戦苦闘のときもありましたが一時のことで、人生という長いライフステージで考えれば、結婚や子育ての持つ意味は極めて重要なものになると思います。新婚生活や子供の誕生、その後の子育てと成長を眺める楽しみや喜びは何物にも代えがたいもので、すべて良い思い出となっています。
少子化は、社会全体に甚大な影響を及ぼします。あらゆる経済活動にも、社会保障制度にも、地域社会の維持にも、悪い影響をもたらすだけに、さまざまな課題を解決し、若い世代が希望通り結婚し、希望する誰もが産み育てられる社会を築くことが必要です。
そのためには、行政はもとより個人も法人もみんなで支えていくことが極めて重要な時を迎えています。