紀南地方に「梅」の収穫期到来 さらなる海外輸出の拡大に挑戦
みなべ町、田辺市を中心とする紀南地方にある梅の産地はこの季節になると休む間もないほどの繁忙期を迎えます。特にこれからの落ち梅の収穫は日照りの暑い日も、しとしと雨の降る日も、完熟の果肉を傷めないように出荷せねばならず、一日も休むことはできません。腰をかがめながらの作業と急斜面の園地から重い果実を搬出する作業は大変な労力です。この季節が来ると、梅の産地を守り、質の高い梅を育ててくださっている生産現場の皆さまのご苦労を思います。
梅の収穫は全国生産量の6割以上を超える、和歌山県を代表する農産物です。私も子どもの頃から、女医であった母から「梅はその日の難のがれ」と聞かされ、「梅干し」は食卓に欠かせないものでありました。当時はどこのご家庭でも、今でいうところの食育が実践されていました。その影響か、私は今でも、茶がゆに金山寺味噌と梅干しが最も大好きな朝ごはんです。東京の議員宿舎の冷蔵庫に梅干しを欠かしたことはありません。忙しい日々の中にあっても健康に活動できていることと梅干しを食べる食習慣は無関係ではないと感謝しています。
コロナ禍の間、梅の消費に思わぬ影響が及びました。旅行・観光業がストップしたことで、ホテルや旅館で提供されていた梅干しの消費も完全に止まりました。今や都会のスーパーの漬物コーナーをのぞくと、キムチが特等席を占領している状況の中で、家庭消費が近年落ち込んで来ています。
私は長年の議員活動のおかげで、海外に多くの友人を得ることができました。政治家のみならず、経済界や文化・芸術関係の友人にも恵まれました。私は彼らとの交流の際に、手土産として必ず準備するものは、故郷である和歌山県産のお土産です。日本にお客さまが来られた際には、その季節の旬の果物を差し上げると、その質の高さに驚かれます。また、こちらが海外に出向く時は検疫の問題がありますから、梅酒や梅干しといった梅の加工品を持っていきます。梅の加工品の最大の強みは腐らないことです。梅干しは現地で駐在している大使館や企業関係者にも大変喜ばれます。
最近、特に私が海外の方の反応が良いと感じるのは「梅酒」です。私は食事の機会があれば、お土産で用意するだけでなく、その場で必ず試飲していただくことを心がけています。そうすれば反応は手に取るように分かります。アジア圏のみならず、欧米においても梅の効能や成分が認知され始め、健康にも良いとして女性からの評価も高いです。私は梅酒の海外輸出について、販路を拡大できる可能性が十分あると感じています。
関係者の皆さまも奮闘されています。2020年には和歌山県産の梅酒が「和歌山梅酒」として国税庁から酒類の地理的表示(GI)に指定されました。「梅酒で乾杯条例」が制定されている田辺市では、真砂充敏市長を先頭に大阪・関西万博を見据え、今年度から市内各地に「梅酒テラス」を設け、熊野古道を訪れる、多くの訪日外国人に梅酒をPRする事業が開始されます。
先祖から受け継いだ素晴らしい故郷・和歌山を次の世代に引き継ぐためにも、梅を世界に発信し販路を拡大していくことが急務です。温州みかんのベトナム向け輸出は非常に好評です。来年以降も輸出量が伸びると確信しています。関係者と相談しながら、今年は梅の販路拡大にも積極的に取り組んでまいります。