「和歌山今昔物語」を発刊 紀州文化の会
文化の力で和歌山のまちおこしに取り組む「紀州文化の会」(大江寛代表)が毎年出版している「あがらの和歌山」シリーズの第16弾『気になる和歌山今昔物語』が8日、発売される。和歌山市各地区の成り立ちや移り変わり、代表的な店舗などを4~5年かけて紹介する新企画の1冊目。同会は「普通の歴史書には載っていない、街の裏まで掘り下げた内容になっている」と話している。
同会は2004年7月に発足し、会社役員ら7人の会員が活動。「ええとこあるで和歌山」を合言葉に、和歌山のファンを増やそうと、地元の魅力を紹介する出版活動などを続け、制作した書籍は今回で18冊となる。
「あがらの和歌山」シリーズではこれまで、和歌山の歴史、地名、方言、屋号など幅広いテーマを扱い、17~22年には、和歌山で今、活躍している女性、男性計702人を取り上げた『紀州の女性』『紀州の侍』全5巻を発刊。今回からは再び歴史をテーマとし、新たな切り口で街の今昔を記録する企画となっている。
地区ごとに、さまざまな業種の企業や店舗、官公庁や公共施設、娯楽施設、百貨店、商業施設などが細かく登場。にぎやかだった繁華街の移り変わり、店舗の創業や移転、廃業などの歴史も詳しく記されており、昔を知る年齢層には懐かしく、若い世代には、現在とは異なる地域の輝きを知ってもらうことができる。
1冊目で取り上げるのは、古くからの市街地、本町・城北地区。市内有数の歓楽街だった雑賀町については、江戸時代から、和歌山大空襲で焼失するまでの歴史をひもとき、戦後、飲食店や娯楽施設が集中する地域として歩んできたことを紹介。昭和30年代、50年代の地図も掲載し、町の変化が詳細に記されている。
巻頭のカラーページや本文中には懐かしい写真も数多く収録し、ぶらくり丁の年表も作成した。
市内の思い出の場所や店などについてつづった26人のコラムも掲載。執筆者は、尾花正啓市長や仁坂吉伸前知事、店舗オーナー、研究者ら多彩な顔ぶれとなっている。
さまざまな業界団体などの協力も得ながら、膨大な資料を集め、裏付けを取る作業は、大変ながらも「めちゃくちゃ楽しかった」と振り返る大江代表(74)。「取材、編集を通じて『どっこい和歌山は生きている』と強く感じた。お年寄りには昔を思い出してもらい、若い人には和歌山はすごかったと知ってもらい、頑張ろうという気持ちになってもらえたらうれしい」と話している。
B5判、330㌻、2480円。県内主要書店で取り扱う。問い合わせは大江代表(℡090・1222・6495)。